ビットコインクジラ、過去2週間で12億ドル相当を売却:CryptoQuant
  • ビットコインを長期保有者やマイナーは、ここ2週間、売り手となっており、買い意欲の復活を示す兆候はほとんど見られない。
  • この傾向は、UTXOエイジバンドの減少によって確認されており、売却活動の活発化を意味している。
  • 一部の意見では、マイナーは半減期後のマイニング報酬の減少により、活況を呈するAI分野に焦点を移しており、これが売却活動を活発化させている可能性がある。

オンチェーン分析会社CryptoQuantは、CoinDeskに提供した6月19日の報告書で、ビットコイン(BTC)の長期保有者とマイナーは過去2週間で最大の売り手であり、新たな需要の兆候はほとんど見られないと述べた。

CryptoQuantが追跡したウォレットによると、クジラ(あらゆるトークンの大規模保有者を指す)は、過去2週間で12億ドル(約1860億円、1ドル=155円換算)相当のBTCを売却しており、公開市場ではなくブローカーを使用した可能性が高い。

「トレーダーは依然としてビットコインの保有量を増やしておらず、大口保有者(クジラ)による需要の伸びも力強さを欠いている」とアナリストは記している。「ステーブルコインの流動性は引き続き鈍化し、その成長は2023年11月以来最も遅いペースだ」。

これらのトレーダーは、5月下旬にBTC価格が7万ドルを超えた後、保有量を減らしており、CryptoQuantが追跡しているUTXOエイジバンドが減少していることを示している。

ビットコイン取引から生じるUTXO(Unspent Transaction Output、未使用トランザクションアウトプット)は、取引が行われるたびに生成され、トレーダーが過去の市場サイクル、現在の市場サイクル、そして今後の市場サイクルにおける売買パターンを追跡するために使用される。UTXOエイジの低下は通常、ビットコイン取引の増加、つまり売却を示唆する。一方、上昇は市場での保有量の増加を示唆する。

UTXOエイジバンドは需要の欠如を示している。(CryptoQuant)

市場関係者は、マイニング事業者はビットコインではなく、活況を呈している人工知能(AI)分野に目を向け、ビットコイン報酬を保有するのではなく売却する可能性があると述べている。 両分野とも、強力なコンピューティングチップに大きく依存してデータを生成・維持しており、マイニング事業者はすでにそのリソースを保有している。

「今年、ビットコインの半減期を迎えた後、最も顕著な傾向の1つは、マイナーがAI事業にますますシフトしていることだ」と暗号資産ファンドMetalphaのシニアトレーダーであるルーシー・フー(Lucy Hu)氏はテレグラムのメッセージで述べた。「マイニング報酬の減少により、マイナーは収益を上げるための他の手段を探すようになった。AI企業はエネルギー集約型のデータセンターを必要としているため、ビットコインマイナーはAI企業との取引から徐々に収益を伸ばしている」。

6月5日以降、ドル高やリスクの高い資産からの逃避、伝統的な株価指数の上昇により、BTC価格は7万1000ドルから6万5000ドル付近まで下落した。一方、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)は先週、6億ドル(約930億円)を超える資金流出を記録した。これは4月下旬以来最悪のパフォーマンスだ。

一部のトレーダーは、成長のきっかけがない場合、BTCは6万ドルまで下落する可能性があると警告している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Whales Sold Over $1B BTC in Past Two Weeks: CryptoQuant