SBI出資のゾディア・カストディ、21シェアーズと提携──欧州の機関投資家にカストディサービス提供

暗号資産(仮想通貨)カストディのゾディア・カストディ(Zodia Custody)は6月25日、スイスの資産運用会社21シェアーズ(21Shares)との提携を発表した。

ゾディア・カストディは英スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank:SCB)のベンチャー投資&インキュベーションユニットであるエスシーベンチャーズ(SC Ventures)と米大手資産運用会社ノーザントラスト(Northern Trust)、日本のSBIホールディングス、ナショナル・オーストラリア・バンク(National Australia Bank)が出資する、機関投資家向け暗号資産(仮想通貨)カストディアンだ。

上場取引商品(ETP)発行大手の21シェアーズ(21Shares)はソディア・カストディとの提携で、スイスおよびヨーロッパ全域で現物担保型ETP商品のカストディサービスを提供する。

ビットコイン現物ETF(上場投資信託)を含む暗号資産ETPは、取引が承認されてから短期間で機関投資家にとって大きなビジネスになっている。21シェアーズのデータによると、2024年第1四半期末までに、937の投資家が110億ドル(約1兆7600億円。1ドル=160円換算)のビットコイン現物ETFを所有しており、これはETFの総資産の約20%に相当する。

ETPに対する需要が引き続き急増する中で、機関投資家は発行から償還までのライフサイクル全体を通じて、より高度なセキュリティと専門家のカストディサービスを必要とするようになった。

今回の提携で21シェアーズは、物理的に裏付けされたETPに、投資家に対してさらなるセキュリティ、保護、規制コンプライアンス、透明性を提供できるようになる。21シェアーズを利用する機関投資家は、コールドストレージウォレットと24時間365日即時アクセスを組み合わせることで、市場のスピードに合わせて動くことができるという利点も享受できる。また、機関投資家にとっては、カストディアンが銀行グレードのコンプライアンスに準拠したカストディ業務を行うことで、リスク管理がより強化されることも重要だ。

「ETPには大きな可能性があり、機関投資家の需要は明確だ」と、ゾディア・カストディのジュリアン・ソーヤー(Julian Sawyer)CEOは述べている。「我々は暗号資産ETPのマーケットリーダーである21シェアーズと提携し、セキュリティ、リスク管理、コンプライアンスを妥協することなく、エコシステム全体に真のインパクトを与えるパートナーシップを実現した」。

21シェアーズの金融商品開発部門責任者、マンディ・チウ(Mandy Chiu)氏は「ゾディア・カストディと提携し、同社の暗号資産カストディにおける比類なき専門知識を活用できることを嬉しく思う」と述べている。

この提携は、両社のセキュリティと透明性に対する取り組みを強調するもので、機関投資家が伝統的な金融業界と同じ水準の安全対策と規制の下で、ETPを含むデジタル資産に投資できる手段を提供する。

|文・編集:井上俊彦
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