ステーブルコイン「ディエム」、3月末の発行を目指す──Spotify、Uberで利用可能に

フェイスブックが主導してきたデジタル通貨で、名称を「リブラ(Libra)」から「ディエム(diem)」したステーブルコインは3月末に、暗号資産のカストディ事業者と決済プラットフォームと連携してプロダクトの発表を目指す。

カストディ事業者「ファイアブロックス(Fireblocks)」と決済プラットフォームの「ファースト・デジタル・アセット・グループ(First Digital Assets Group)」がディエムをサポートし、銀行や取引所、決済サービスプロバイダー(PSP)、eウォレット(eWallet)などの金融サービスプロバイダーとの接続を行う。

フェイスブック(Facebook)は2019年、リブラを発表したが、各国規制当局や政府からの反発を受けてきた。リブラの目的は、法定通貨バスケットに裏づけられたグローバル・ステーブルコインを生み出すことで、各国の金融政策を損なう可能性があった。

現在、プロジェクトは「ディエム」に名称を変更し、3月末に米ドルに連動したステーブルコインの発行を目指す。当初の構想とは大きく異なる。

暗号資産に与える影響

ディエムは、ファイアブロックスとファーストを通じて、スポティファイ(Spotify)、ファーフェッチ(Farfetch)、リフト(Lyft)、ウーバー(Uber)、ショッピファイ(Shopify)などのディエム協会(Diem Association)メンバーで利用可能になる。

一方で、旧リブラ協会(Libra Association)の設立メンバーだったペイパル(PayPal)とマスターカード(Mastercard)、ビザ(Visa)が、独自に暗号資産を活用する計画を積極的に推進していることは注目に値する。

「ファイアブロックスとファーストが提供するものは、小売業者と決済サービスプロバイダーがディエムを決済手段として、真に統合された方法で使うことを可能にする。ビザやマスターカードなどの決済手段とほぼ同様にシームレスに使えるものになる」とファイアブロックスのマイケル・シャウロフ(Michael Shaulov)CEOは語った。

シャウロフCEOによると、ディエムでは返金も可能で、小売業者や給与などの支払いのために、法定通貨に簡単に戻すことができる。また、将来に向けて、「Move」と名づけられたスマートコントラクト言語も含まれ、許可型のDeFi(分散型金融)などで活用できるという。

シャウロフCEOは、実現までに時間がかかり、プロジェクトの目標が限定的になったことで批判を集めているにもかかわらず、ディエムは依然として暗号資産を主流にするための重要なプロジェクトになると考えている。

「ペイパルが3億5000万のユーザーにビットコインを提供することで、ビットコインに与えている影響を考えてみてほしい。フェイスブックには25億人のユーザーがいる。そして、正しいユーザー・エクスペリエンス(UX)を提供する方法や、物事をシンプルにする方法、ユーザーを巻き込む方法を熟知している」とシャウロフCEOは述べた。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Diem Stablecoin Prepares for Liftoff With Fireblocks Custody Partnership