欧米の金融大手が、「イーサリアム・キラー」と呼ばれる暗号資産「ポルカドット(DOT)」の派生投資商品の取引をスイス市場で行っている。米coindeskが金融取引・情報端末のブルームバーグで確認した。
ブルームバーグのデータによると、取引を行ったのは、米金融大手のゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェース、スイスで最大の銀行事業をてがけるUBS、世界最大級の金融仲介業者である英ICAP。取引されたのは、スイスの21シェアーズ(21Shares)が開発した「21Shares Polkadot ETP」で、今月4日にスイス証券取引所(SIX)に上場された暗号資産・派生上場投資商品だ。
ポルカドットETPは、上場日に22~23ドルで取引されたが、その後30ドル近辺まで値を上げている。投資家はETPを購入することで、暗号資産の現物を直接購入・保有することなく、暗号資産がもたらすキャピタルゲインを得ることが可能だ。
21Sharesはこれまでに、ポルカドットETPのほかにビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などのETPも開発し、スイス証取に上場してきた。
CoinGeckoのデータによると、ポルカドットの時価総額は現在190億ドル(約2兆円)を超えて、暗号資産の時価総額ランキングでは5番目に大きい。イーサリアムの共同創業者ギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏が共同創業したポルカドットは、さまざまなブロックチェーンを相互接続することを目指している。
「暗号資産取引への関心が著しく高まっている。ETPはカストディについて心配することなく、暗号通貨に投資できる簡単な方法」と、Flow Tradersのマイケル・リー(Michael Lie)氏はコメントした。
大口投資家からの需要
ブルームバーグ端末のデータには、ゴールドマン・サックス(GS)が9600株、UBSが2770株、JPモルガン(JPMS)が500株、ICAP(ICAP GB)が1000株、メリルリンチ(MLCO)が2200株を購入取引を行ったことが示されている。
その他、野村ホールディングス傘下の米インスティネット(INCA)が9280株、Flow Traders(FLOW)が6897株を購入している。
ゴールドマン・サックスの広報担当者は、取引について公開できる情報はないとしながら、調査中だと答えた。他の銀行と証券会社にもコメントを求めたが、返答はない。
21シェアーズのローラン・クシス(Laurent Kssis)氏によると、21Shares Polkadot ETPの運用資産は現在、1500万ドルを超えている。同社はまた、5つの主要暗号資産から構成される「Crypto Basket Index ETP」を運用している。
英金融行動監視機構(FCA:Financial Conduct Authority)は先月6日に、ETPの一種である暗号資産ETN(上場投資証券)の個人投資家への販売を禁止した。しかし、ブルームバーグのデータでは、暗号資産ETPに対する大口投資家からの一定の需要が存在することが示されている。
伝統的な大手金融機関は、単なる投資だけでなく、暗号資産の現物を取り扱う事業にも関心を示している。ゴールドマン・サックスは1月、デジタル資産カストディを検討するための情報提供要請書(RFI)を発行している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ニューヨークの金融街(Shutterstock)
|原文:Goldman Sachs, JPMorgan, UBS Are Trading an ETP Tied to Polkadot’s Crypto