SBIホールディングスが、スイスのデジタル資産銀行Sygnum Bankへの出資を行う。ドイツやスイス、米国、シンガポールなどの有力企業との連携を深化させながら、SBIはデジタル資産事業の開発をさらに加速させる。
SBIは18日、子会社でデジタルアセット事業を統括するSBIデジタルアセットホールディングスが、スイス・チューリッヒに本社を置くSygnum Bankに出資すると発表した。出資額などは明らかにしていない。
Sygnumは2019年にスイスの金融当局から銀行免許を取得し、デジタル資産銀行の業務を開始。同行はシンガポールでもデジタル資産の管理事業を運営している。Sygnumは独自のセキュリティトークン発行プラットフォーム「Desygnate」を活用し、自社株式をトークン化するなどして、デジタル資産事業の創出を進めてきた。
SBIとSygnumは昨年10月、デジタル資産のベンチャーファンドを共同で設立することに合意。同領域でのベンチャー投資を行っていく。
セキュリティトークンオファリング(STO)は、発行体企業が従来の株式や社債に代わり、ブロックチェーンを使って発行するデジタル証券「セキュリティトークン(ST)」で資金を調達するというもの。2019年に金融商品取引法が改正され、日本国内でもSTの取り扱いが可能になった。
SBIのデジタル証券事業
SBIは昨年10月にSTO事業の詳細を発表している。同社子会社のSBI e-Sportsはすでに、セキュリティトークン(株式)による第三者割当増資を実施してきた。一方、SBI証券は、企業が社債のセキュリティトークンを公募で発行できる事業の検討を進めている。
また、野村ホールディングスと野村総合研究所が共同で設立したBOOSTRYは、STの発行・取引プラットフォーム「ibed」を開発してきたが、SBIはBOOSTRYの株式10%を野村から取得し、業務提携を結んでいる。
「Sygnumとの連携を通して、SBIはSTOに対する取り組みと、デジタル資産に関する取り組みを強化することができる。SBIグループが有するノウハウとSygnumが有する優れたサービスを活用し、セキュリティトークンとデジタルアセットの発展に向けて取り組んでいく」(SBI・発表文より)
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|文・編集:佐藤茂
|写真:SBIホールディングスの北尾吉孝社長(撮影:多田圭佑)