暗号資産のイーサリアム(ETH)は18日、1928ドル(約20万4000円)の新たな最高値を記録した。過熱するイーサリアムのデリバティブ市場は短期的に、同暗号資産価格のボラティリティ上昇を示している。
イーサリアムの永久先物(満期のない先物)を提供している大手暗号資産(仮想通貨)取引所での平均「資金調達率」は、0.069%から急上昇。1月はじめの記録的な高水準0.21%をわずかに下回る数値となっている(データサイトGlassnodeのデータ)。
「これは、デリバティブ市場がオーバーレバレッジであることを示している。現在の状況では、多くのロングポジション(ビットコインの買い=強気の投資)を維持することは安心できないと感じる」とスイスに拠点を置くクリプトファイナンスAG (Crypto Finance AG)のパトリック・ホイザー(Patrick Heusser)氏はコメントした。
資金調達率は8時間ごとに算出され、ロングポジションを保有するコストを表す。
スポット価格(現物価格)にプレミアム(上乗せコスト)を乗せて永久先物を取引する場合、調達率はプラスになる。つまり、きわめて高い資金調達率は、レバレッジが過度に強気に偏っているサイン(買われ過ぎの状態)と捉えられ、しばしば市場にボラティリティをもたらす。
このような状況では、高コストでロングポジションを保有するメリットは、強気モメンタムが継続する場合のみとなる。価格が下落、あるいは横ばいとなった場合はロングポジションの清算を引き起こし、より深刻な価格下落とボラティリティの上昇を招く。
当記事執筆時点では、まだそうした傾向は見られないが、コインベース(Coinbase)などの大手取引所でのスポット市場の取引高は減少しており、急激な上昇が続く可能性は低くなってる。
日次取引高の10日移動平均は低下しており、最近の価格上昇の継続には疑問が生じている。取引高が低いなかでの価格上昇は、しばしば短期間なものとなる。
チェーン上のデータはまだ強気傾向
とはいえ、ブロックチェーン上の各種データは強気を示しているため、仮に下落局面があったとしても、小さく、かつ短期間なものになる可能性がある。
データサイトのクリプトクワント(CryptoQuant)によると、取引所のイーサリアム残高は過去3カ月で10%減少し、2077万イーサリアムとなっている。これは、投資家がイーサリアムを自身で保管しているか、あるいはDeFiプロジェクトにステーキングしていることを示しており、売り手側の流動性不足を引き起こしている。
「長期的には、取引所残高が減少している限り、イーサリアムの上昇は続くだろう」とクリプトクワントのCEO、キ・ヨン・ジュ(Ki-Young Ju)氏は語った。
他の指標も強気を示している。例えば、グラスノードによると、イーサリアムブロックチェーン上のアクティブアドレス数の90日平均は、過去最多の約45万まで増加し、2017年に記録したピークを超えた。
「利用場面が増えると需要が高まり、価格は上昇する」とブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)のフィリップ・グラッドウェル(Philip Gradwell)は述べた。
|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk 20
|原文:Ether Looks Overleveraged as Cryptocurrency Hits New High Over $1,900