ビットコイン1億円分を探すゲーム「サトシの宝」に6万人登録。謎解きツール、トークンも生まれる

暗号の手がかりを探す冒険の旅ほど、ビットコインに関わる人たちを団結させるものはない。

代替現実ゲーム「Satoshi’s Treasure(サトシの宝)」の共同クリエーターでプリミティブ・ベンチャーズ(Primitive Ventures)のエリック・メルツァー(Eric Meltzer)氏によると、現時点で6万近くの人が100万ドル(約1億1000万円)相当のビットコインをめぐる世界的な宝探しゲームに登録した。

5月11日(現地時間)、ニューヨークで開催されたマジカル・クリプト・カンファレンス(Magical Crypto Conference)で、メルツァー氏とそのチームは新たな手がかりを発表。イベントで配布された名刺に手がかりとなる一連のイメージなどが隠されていた。

そして、CoinDeskだけに明らかにされた情報によると、暗号通貨の名だたる投資家がこのゲームに資金を提供した(金額は非公開)。資金を出したのは、Naval Ravikant氏、Balaji Srinivasan氏、Mark Pincus氏、Andrew Lee氏、IDEO CoLabs Ventures、Nic Carter氏、Matt Walsh氏、Meltem Demirors氏、Li Xiaolai氏、Jehan Chu氏、Sam Engelbardt氏。

「サトシの宝はとてもエキサイティングだと思う。宝探しの本当の楽しさがある。グローバルで、誰でも参加できる」と資金提供者の1人、Carter氏はCoinDeskに語った。

また、多くの人がオンラインでチームを作り、賞金を獲得するために最低限必要な400個のフラグメントを集めようとしているとメルツァー氏は述べた(賞金となるビットコインウォレットへの鍵は1000個のフラグメントに分割されている)。

そして、こうしたチームのダイナミクスは、ビットコインに関わる人たちが他のオンラインゲームコミュニティーと比べて、いかにユニークかということを明らかにした。例えば、ソフトウエアエンジニアのジョン・カントレル(John Cantrell)氏は、最初の重要なフラグメントの1つのコードを解読し、その後、ツイッターとGithubでその内容を詳しく解説した。

「私にとって、これはまさに教育にほかならない」とカントレル氏はCoinDeskに語った。

その後、カントレル氏はいくつかのチームに参加、手がかりを整理し、宝探しをサポートする無料ツール「Ordo」を作成した。ツールは宝探しを行う全てのチームに役立つものだ。

カントレル氏は現在までにOrdoを使っている最大のチームには600人のメンバーがいるようだと述べた。

マゼランクラン(Magellan Clan)と呼ばれる別の大きなチームは、30カ国に100人のメンバがいるとメールでCoinDeskに述べた。マゼランクランは手がかりを提供してくれたチーム以外の人への褒賞として独自トークンさえも作っている。

多くの人がサトシの宝に参加しているため、カントレル氏のほかにも他のプレーヤーのためにツールやサービスを作っている人がいる。

例えば、18人のメンバーがいるToshiCiphersは、シャツなどの作成を考えているチーム向けのショップを立ち上げた。ToshiCiphersのメンバーのデボン・クレイマー(Devon Kramer )氏はすでにカスタムシャツのオーダーを4回受けたとCoinDeskに語った。

ビットコインのベテランであるカントレル氏のようなゲーマーは、賞金ではなく、協調的なプレーである点でサトシの宝に惹かれている。手がかりは物理的な世界とオンラインの両方に広がっており、ゲームに勝つためには幅広いスキルと言語が求められる。

「暗号通貨の世界を初めて体験する人たちもいた。ブロックチェーンについてよく知らない人たち。だが宝探しによってこの世界に参加した」とクレイマー氏。

ヤン(Yann)と呼ばれるクレイマー氏のチームメイトは以下のように付け加えた。

「我々は拡張現実(AR)時代の初の偉大なゲームをプレイしていると思う」

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Satoshi’s Treasure hunters image via Eric Meltzer
原文:$1 Million Bitcoin Scavenger Hunt Attracts 60,000 Digital Sleuths (And New Investors)