技術系専門職を対象に匿名ネットワーク「ブラインド(Blind)」が行ったアンケート調査では、回答者の50%が暗号資産(仮想通貨)を信頼し、57%は暗号資産を保有していることがわかった。
1800人の回答者には、ツイッターやアマゾン、JPモルガン・チェースなどのさまざまな米国企業の社員が含まれている。
調査では、暗号資産に対する信頼度や保有状況、報酬の一部を暗号資産で受け取ることができるかなどの質問が出された。
「驚くべき結果は、回答者の半数しか暗号資産を信頼していないことだ。テスラやペイパル、スクエア、ツイッターといった企業がビットコインに投資していることを考えると、暗号資産に対する信頼は、テクノロジー業界とその従業員にもっと浸透していると期待していた」と調査を行ったフィオレラ・リッコボーノ(Fiorella Riccobono)氏は語った。
銀行勤務と大手テック勤務
調査結果を見ると、大手銀行の従業員は、IT業界の従業員よりも暗号資産を信頼していると解釈できる。
調査に参加した、JPモルガン・チェースに勤める社員の90%と、ゴールドマン・サックス勤務の回答者の7割は、暗号資産を信頼していると答えた。
機関投資家がビットコインへの投資を拡大していることや、ゴールドマン・サックスが暗号資産の取引デスクを再開させるなど、米国の金融機関は暗号資産市場への参入を進めている。
一方、今回の調査に参加した米テクノロジー大手のアマゾンとアップルの社員においては、暗号資産に対する信頼度は比較的に低く、アマゾンが52%で、アップルは50%にとどまった。
4割が暗号資産の支払いはOK
さらに回答者の39%は、報酬の一部として暗号資産での支払いを受け入れると答えた。1位はクレジットの信用情報を扱うクレジット・カルマ(Credit Karma)で、従業員の80%が受け入れると回答した。ペイパルは38%だった。
リッコボーノ氏は、暗号資産に対する信頼度が予想よりも低かったとコメントする一方で、暗号資産を扱う企業の従業員においては、信頼度は比較的に高かった。
ツイッター勤務の回答者の75%は、暗号資産を保有しており、米金融情報サービスのブルームバーグは64%だった。
アマゾン、フェイスブック社員の投稿
匿名ネットワーク「ブラインド」では、ユーザーは投稿をシェアしたり、質問することが可能だ。
フェイスブックの従業員は、「資産の半分は暗号資産。お金の未来であり、いつかあなたも保有するようになるだろう。リスクは高いか? 答えはイエスだが、将来、利益を生むことになるだろう」と投稿している。
アマゾンの社員は、ブロックチェーン技術がどれほど重要かが広く理解されていないことを問題視する投稿を行った。
「流行りの暗号資産が失敗に終われば、基盤となるブロックチェーンのメリットや潜在的メリットも切り捨ててしまう。それが一番の懸念だ。単純な決済台帳を超えて拡大すると考えられている基盤システムに存在する暗号資産への投資を検討している」(匿名のアマゾン従業員)
リンクドイン(LinkedIn)の従業員は、「10万ドル(約1070万円)をビットコインに換えた。人生は一度きり」とコメントした。
リッコボーノ氏によると、ブラインドがこの調査を実施した理由は、DeFi(分散型金融)が将来の銀行の姿に大きな影響を与える可能性が高いからだ。「ブラインドのユーザーは、マクロ経済レベルで金融システム全体がシフトする可能性を認識している」とリッコボーノ氏は述べた。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Half the Professionals Surveyed in Anonymous Poll ‘Trust’ Crypto