JPモルガン、JPMコイン事業で人員拡大──ブロックチェーン採用34件

米銀最大手のJPモルガン・チェースが、決済や送金などでの利用が期待されるブロックチェーンに関連する人員を拡大する。同社ウェブサイトに34件の求人情報を掲載した。

この分野においては、記録的な求人件数である可能性が高い。JPモルガンは過去にも、積極的にブロックチェーン関連の採用を進めてきた金融機関として注目された。

求人の大半は今月と先月に掲載されたもので、勤務地はアメリカ、インド、シンガポールに広がっている。役職の多くは、JPモルガンが昨年10月に設立した子会社のオニキス(Onyx)と直接関係するものだ。オニキスは、ホールセール型支払いトークンの「JPMコイン」を利用したサービス開発を進めながら、ブロックチェーンを活用した他のソリューションの開発も行っている。

ブロックチェーンエンジニア職の多くは、JPMコインと情報プラットフォームの「リンク(Liink)」を、JPモルガンの支払いアーキテクチャに統合することに重点を置いている。リンクは以前まで「イン(IIN)」と呼ばれ、現在までに数百の銀行がこのプラットフォームへの参加を表明している。

インド、シンガポールで人材確保

オニキスが立ち上げられた際、JPモルガンはこの新しいユニットに約100名が勤務するとしていた。

北米と欧州、シンガポールの大手銀行各社は、暗号資産分野への参入をめぐって活気づいており、暗号資産カストディ(管理・保管)分野やデジタル資産取引の可能性について検討を進めている。JPモルガンはこれらの点に関しての動きが見られないが、グローバル決済・送金に関しては明らかに、多くが進行中のようだ。

JPモルガンにおいて、「ブロックチェーン」で求人情報を検索すると56の結果が確認された。一方、暗号資産取引デスクの活動再開が報じられたゴールドマン・サックスについては、ブロックチェーン/暗号資産関連の求人は2件。

モルガン・スタンレーが2件のブロックチェーン関連求人を掲載しており、BNYメロンでは、役職名にブロックチェーンやデジタル資産を含む求人は4件確認できる。

JPモルガンの求人の13件はオニキスとリンクに関連するもので、そのうちの3つはインドのバンガロール、2つがシンガポール、残りはアメリカが勤務地となる。他にも、カリフォルニア州パロアルトが勤務地となるリンクのマーケティングマネージャーや、ブロックチェーンとも関連する商業不動産での役職が空いている。

JPモルガンのエンジニアは、銀行サービスを対象に作られたブロックチェーン「クォーラム(Quorum)」を開発した。クォーラム上にJPMコインとリンクのシステムを構築しているが、現在クォーラムは、ニューヨークに拠点を置くコンセンシス(Consensys)社に引き継がれている。

|翻訳:山口晶子
|編集:佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:JPMorgan Posts 34 Blockchain Jobs as It Beefs Up JPM Coin