ペイパルは8日、イスラエルに拠点を置く暗号資産カストディ企業「カーブ(Curv)」の買収に合意したと発表した。
買収金額などは明らかにされていないが、ペイパルは「暗号資産(仮想通貨)およびデジタル資産に関連する事業を拡大」させることが目的だと説明した。
米CoinDeskは3月2日、買収が進行中と最初に報じた。買収は今年上半期に完了する見通しだ。
「カーブの買収は、より包括的な金融システムに向けた我々のビジョンを実現するために、優秀な人材とテクノロジーに投資する取り組みの一環だ」と、同社バイスプレジデント兼ブロックチェーン・暗号資産・デジタル通貨担当ゼネラルマネージャーのホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ(Jose Fernandez da Ponte)氏は述べた。
「カーブのチームと協議を進めてきたなかで、カーブの技術的才能や起業家精神、そしてこの数年間開発してきたテクノロジーの背景にある考え方に感銘を受けた。カーブのチームをペイパルに迎え入れられることを大変うれしく思っている」(ポンテ氏)
カーブの共同創業者兼CEOのイテイ・マリンガー(Itay Malinger)氏は「今、デジタル資産の普及が加速するなか、イノベーションを推進し続けていくために、ペイパルほど最適な場所はないと感じている」と語った。
ペイパルの暗号資産における動き
ペイパルが、暗号資産カストディ企業の買収を考えていることは周知の事実だった。ペイパルは過去に、ビットゴー(BitGo)に7億5000万ドルでの買収を提示したと伝えられたが、買収は成立しなかった。
暗号資産業界では、カーブやファイアーブロックス(Fireblocks)のようなカストディ企業が不足している。ファイアーブロックスは、伝統的資産での世界最大のカストディアンであるバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)と暗号資産カストディに取り組んでいると伝えられている。
関係者によると、カーブは過去にフェイスブックの暗号資産部門「ノビ(Novi)」からの買収提案を退けてきた。
カーブはイートロ(eToro)やファルコンエックス(FalconX)など、ヨーロッパに軸足を置いた大手暗号資産企業と提携しており、今回の買収は、ペイパルがより幅広いサービスを提供すると同時に、アメリカ以外でも暗号資産における影響力の拡大を目指していることを示唆している。
大手銀行がカストディ分野での提携や企業買収による人材獲得を目指すなか、2021年は暗号資産業界での合併や買収が増える可能性がある。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:PayPal Confirms It’s Buying Crypto Security Firm Curv