NEM、企業向けPoSチェーンのローンチが遅延

暗号資産「ネム(NEM:New Economy Movement)」の開発などを支援するネムグループ(NEM Group)は、新しい企業(エンタープライズ)向けブロックチェーン「シンボル(Symbol)」の開始日を遅延させた。一部に不具合が見つかった。

シンボルは、独自のトークン「XYM」を持つプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーン。ネムグループはフィンテックからサプライチェーンまで、あらゆる企業向けのブロックチェーンソリューションとしてアピールしている。

「プライベートネットワークとパブリックネットワークを同時に使う方法に大きな柔軟性をもたらすことができると考えている。プライベートネットワークは、パブリックネットワークのためのステージング環境や、土台のようなものと考えることができる。そこから何が生まれるかを楽しみにしている」と、ネムソフトウェアの最高技術責任者(CTO)、クリスティ-レイ・ミネハン(Kristy-Leigh Minehan)氏はCoinDeskの取材に答えた。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS):発行済コインの総量に対する保有コインの割合によって、発言力が変動するよう設計されたアルゴリズムのこと。コインの保有量が多いほど報酬を得やすい仕組みになっている。ビットコインが採用しているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と異なり、膨大な電力やマイニング機器を必要としないことがメリットとされる。

シンボルを使うと、企業は独自のプライベートブロックチェーンを立ち上げることができ、シンボルのパブリックチェーンと相互運用が可能になる。さらにシンボルは「アトミックスワップ」に対応するという。

アトミックスワップは、ビットコインから生まれた暗号化技術で、中央集権型取引所のような第三者を必要とせずに、2つのブロックチェーンの間でデータ(通常は暗号資産)を移動できるようにすることをいう。

DeFiやNFTにも対応可能

またシンボルは、「モザイク(mosaics)」と呼ばれるトークンを使って、人気のDeFiをはじめ、セキュリティトークン(デジタル証券)やNFT(ノン・ファンジブル・トークン)にも対応可能だと、ミネハン氏は述べた。

同氏によると、米国・ケンタッキー州にあるウィスキー会社は、モザイクを使って樽入りウイスキーをトークン化したという。

NFTについては、次のステップは「デジタル化した原資産(jpegなど)を取引自体に組み込むこと」であり、そのためにはチェーン上に大量のデータを保存する必要があるとミネハン氏は語った。

また、ネムは全般的に、シンボルをNFTから樽入りウイスキー、CBDC(中銀デジタル通貨)、ステーブルコインまで「あらゆるトークンに対応したプラットフォーム」にすることに重点を置いている。ミネハン氏は、チームはパブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの間をつなぐことに注力していると強調した。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Caspar Camille Rubin/Unsplash
|原文:NEM Launches Proof-of-Stake, Enterprise-Facing Blockchain Platform