マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)は、DeFi(分散型金融)のような暗号資産(仮想通貨)の革新的な領域に十分な関心を向けている。FATFが3月19日に発表したガイダンスの草稿で明らかになった。
また分散型取引所(DEX)の定義を明確にするとともに、人気が爆発的に高まっているノン・ファンジブル・トークン(NFT)を注視していることも示唆した。
FATFは、暗号資産における匿名の取引にアンチマネーロンダリング(AML)規制を適応することに苦戦しており、NFTとDeFiはさらなる課題を突きつけている。
DeFiについては、FATFの基準はDeFiの基盤となるソフトウェアやテクノロジーには当てはまらないかもしれないが、所有者や運営者など、Dapp(分散型アプリ)に関わっている人や組織は現時点で、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)と認識される可能性があるとFATFは述べた。
VASPは、伝統的金融業と同様のAML要件を満たさなければならない。つまりこれは、DeFiの創業者や投資家、VCに対する明らかな警告だ。
NFTは常に監視対象
DeFiへの対応に加えて、FATFのガイダンスは用語の慎重な変更を行っている。NFTを意識した変更のようだ。
「ファンジブルな資産」についての具体的な表現が、「変換可能で代替可能な資産」という表現に置き換えられたと、AMLデータ共有規格「IVMS101」の推進者であり、XReg Consultingのシニア・パートナーのシアン・ジョーンズ(Siân Jones)氏は指摘する。これは現在のNFTブームに対して、影響を与えるのではないだろうか。
「NFTは法定通貨あるいは暗号資産に変換または交換可能であり、常に監視対象にあり、今後もそうであり続ける。一部の用語はFATFが当初意図したものとは異なる解釈が可能だったが、FATFの意図を明確に表す言葉に置き換えられた」(ジョーンズ氏)
NTFはマネーロンダリングやテロ資金供与に利用できる場合、FATFにとって「バーチャル資産」にあたるとブロックチェーン分析会社のサイファートレース(CipherTrace)は新しいガイダンスの要点をまとめたブログで結論づけた。
「当初はバーチャル資産に該当すると思われないような一部のNFTは、実際はバーチャル資産に該当する可能性がある。価値の移動や交換を可能にしたり、マネーロンダリングやテロ資金供与などに利用される流通市場が存在するためだ」とサイファートレースは述べている。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:FATF会議(Hervé Cortinat/OECD)
|原文:Financial Watchdogs Have DeFi in Their Sights, Alter Wording Around NFTs