世界中の機関投資家がビットコイン(BTC)に注目しているなか、スイスの資産運用会社はさらに先を行く取り組みを始める。チューリッヒに拠点を置く投資会社のTavis Digitalは26日、シンガポールのPersistenceと提携し、暗号資産のステーキングを開始すると発表した。
ステーキング:プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用したブロックチェーンにおいて、暗号資産を保有し、ネットワークに参加することで報酬を得る仕組み。ビットコインの「マイニング」に相当する。
Persistenceは、機関投資家などの企業に暗号資産のステーキングやDeFi(分散型金融)に関連した事業への参入支援を行っている。一方、Tavis Digitalはスイス金融市場監督局(FINMA)の認可を受けた資産運用会社で、資産残高は10億7000万ドル(約1170億円)にのぼる。
暗号資産とその応用については、スイスやシンガポールが先行している。
「ステーキングのためのノードの運用方法がわからない機関投資家には、弊社が代行サービスを提供する。ノードの運用は簡単ではない。フル稼働率を維持することが、この分野における生き残りのカギを握る」とPersistenceの共同創業者兼CEOツシャー・アガルワル(Tushar Aggarwal)氏は述べた。
Persistenceは、機関投資家などをコスモス(Cosmos)、ポリゴン(Polygon、旧Matic)、NEAR、SKALE、テラ(Terra)などのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ネットワークに参加させ、報酬を獲得させる。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS):ビットコインが採用しているエネルギー大量消費型の決済承認方法「プルーフ・オブ・ワーク(PoS)」とは異なり、発行済コインの総量に対する保有コインの割合に応じて承認作業を行う割合を決める方法。
新しい分野
Tavis Digitalの動きは、一部の伝統的な機関投資家が単にビットコインに投資すること以上の取り組みになるだろう。しかし、実際にブロックチェーンに参加し、承認作業を行うノードを運用することは複雑な作業になる。
Persistenceは、そうした作業に時間とコストを費やすことを望まない企業に対して代行サービスを提供する。同社は現在、主にコスモスを中心に約2億6000万ドルをステーキングしている。
「現在、西欧諸国の大部分がゼロ金利、あるいは一部の国ではマイナス金利となっているため、機関投資家から固定した利回りを求める声が高まっている。利回りを生み出す仕組みを作り、PoSマイニングから資産クラスとしてリターンを生み出すことこそが、Tavis Digitalが目指していること」とアガルワル氏は述べた。
|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Mikadun/Shutterstock
|原文:Staking as an Asset Class? This Swiss Institutional Fund Is Jumping In