機関投資家は引き続き積極的だが、個人も負けていない。
これは、CoinDesk Researchがまとめた2021年第1四半期レビューで述べる重要なポイントだ。1月~3月期、機関投資家は引き続き積極的に動いた。EV大手のテスラなどの事業会社がビットコインを資産として保有する動きが目立ち、大手金融機関は暗号資産(仮想通貨)サービスの計画を明らかにした。
同時に、同四半期には個人投資家が市場の牽引力として台頭した。個人投資家に注力した取引所での動きは、機関投資家向け取引所と並んで活発となった。またデータは、一部の大口保有者の売却(利益確定)を小口保有者の増加が支えたことを示した。
100枚以上のスライドにまとめられたレビューでは、ビットコインとイーサリアム市場の拡大とともに、DeFi(分散型金融)とステーブルコイン、ノンファンジブル・トークン(NFT)の成長にも注目している。
暗号資産のインフラ企業は、大規模な資金調達を成功させた。上場計画を発表し、きわめて高い企業評価額となる企業もある。これらは暗号資産市場の永続的な成長と、将来の収益性に対する力強い信頼を示している。
こうした動きはイーサリアム(ETH)にも波及し始め、業界の技術的進歩と、暗号資産の多様化のメリットに対する理解が深まっていることを浮き彫りにしている。
NFTの盛り上がり
ノンファンジブル・トークン(NFT)に対する投資家やセレブ、一般の多くの人たちからの強いな関心には驚かされる。冷静に考えてみると、驚くべきことではないだろう。
カルチャーに、新しいテクノロジーや新しい体験、驚くような価格とのつながりを組み合わせれば、クリエイティビティと、インターネット上で話題になるような投資の魅力的なカクテルができあがる。
これがゲームストップ(GameStop)騒動が浮き彫りにした投資カルチャーの変化の延長線上にあるものなのか、あるいは新しいタイプの資産の登場なのか、新しいタイプのミクロ経済とビジネスモデルの組み合わせなのか、あるいはこれらすべてなのか。いずれにせよ、その盛り上がりに目を奪われた。
ステーブルコインとDeFi
ステーブルコインの展開は、供給の急増が占めており、取引所と店頭取引(OTC)における取引の増加が一因となった。テザー(USDT)を発行するテザー社と暗号資産取引所ビットフィネックス(Bitfinex)に対するニューヨーク州司法長官の複数年に及ぶ調査の終了もその要因となった。
また、DeFi(分散型金融)の預け入れ資産の増加、取引量の増加、トークン価格の上昇も特筆すべきことだ。
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|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk Research
|原文:Retail Gains Amid Institutional Influx in Q1: CoinDesk Quarterly Review