イーサリアム(ETH)を史上最高値の2100ドルへと導いた需要は、ビットコイン(BTC)を3月に6万1000ドルに押し上げた需要よりも少ないことが、ブロックチェーン・データアナリストの分析でわかった。
チェイナリシス(Chainalysis)のチーフエコノミスト、フィリップ・グラッドウェル氏は、1850ドルを上回る価格で購入されたイーサリアム(ETH)は比較的少なく、2000ドル以上の値段で買われたボリュームはさらに少なかったと米CoinDesk TVの番組「First Mover」で述べた。
「重要なことは、人々の購入価格はその価格水準での需要レベルを示す。つまり、2000ドルでは、需要はあまり大きくない」(グラッドウェル氏)
4月5日時点のブロックチェーンデータは、1800ドル付近にイーサリアム購入のきわめて大きな動きが存在したことを示していると同氏はニュースレターの中で指摘する。
この価格レベルは、強いサポートになる可能性が高い。なぜなら獲得コストは過去の異なる価格レベルでの需要を示しているからだ。分析は、買い手が獲得コストを下回る価格で暗号資産を売却する可能性は低いと想定している。
イーサリアムが史上最高値を更新した3日後の4月5日、1850ドル以上の価格で購入されたイーサリアムは70万ほどに過ぎず、そのコストは約14億ドル。一方、ビットコインが史上最高値に達してから2週間後の3月29日、5万7000ドル以上の価格で購入されたビットコインは約23万8000、そのコストは約140億ドルだったと同氏は指摘した。
「(直近の)2151ドルの史上最高値は大規模なサポートレベルをいく分超えるものであり、比較的少ない需要が牽引していた。これは高価格レベルでの先行需要が大きかったビットコインとは対照的だ」(グラッドウェル氏)
グラッドウェル氏の4月1日のニュースレターから引用した下図も、3月29日の現物価格よりも高い値段で10万ビットコインが購入されたことを示している。
ヒューマンバイアス
だがブロックチェーンデータをもとに市場の動きを分析することには限界がある。データは高い透明性をもたらし、暗号資産がネットワーク上でどのような動きをしているかを投資家やトレーダーが理解する手助けになるものの、その解釈や投資家心理の推測は人間に依存しており、データは我々の判断を誤らせる可能性もある。
グラッドウェル氏は、自身の分析には多少の「下方バイアス」が含まれており、イーサリアムのサポート価格レベルを低くしている可能性があると述べた。
同氏の分析は、人々は損失を出してイーサリアムを売ることはないという仮定に基づいている。仮にイーサリアム保有者が損失を出してもイーサリアムを売却することを厭わないとすれば、1800ドルのサポートレベルは期待したほど強いものではなくなる可能性がある。
グラッドウェル氏によると、2018年にイーサリアムを高値で購入した投資家の多くは、損失を出してイーサリアムを売却したが、当時、多くのビットコイン保有者は弱気市場を通じてビットコインを保有し続けたという。
「小規模だが非常に強気のイーサリアム購入者が存在していることは、イーサリアムの史上最高値は、少なくともビットコインに比べてサポートベースが小さい傾向にあるという私の懸念を裏付けている」とグラッドウェル氏は述べた。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Chainalysis
|原文:Ether’s Record Run Came With Less Support Than Bitcoin’s, Blockchain Analysis Shows