BTCマイニングベンチャーが1400万ドルを調達──再エネだけでマイニング

グリフォン・デジタル・マイニング(Gryphon Digital Mining)は、米国で再生可能エネルギーを使ったビットコインのマイニング事業を進めるため、1400万ドル(約15億円)の資金を調達した。

2020年夏に設立された同社は、非公開の資金調達ラウンドを実施。ビットコインマイニングにおける電力消費や、CO2の排出に対する批判が激しくなるなか、事業計画を具体化しようとしている。

「現在、再生可能エネルギーを使用しているマイニング企業はあるが、100%再生可能エネルギーに取り組んでいる企業はない。特に、業界への反発を考えると、我々はこの取り組みを進めるべきと考えている」と同社会長のブリタニー・カイザー(Brittany Kaiser)氏は述べる。

共同創業者兼CEOのロブ・チャン(Rob Chang)氏は「我々はこの先、化石燃料を使用しないようにしたい。使用するエネルギーは水力、原子力、太陽光、風力のいずれかになる。ビットコインマイニング企業としては初めてだと思う」と述べた。

同社はマイニングを行う場所は明らかにしていないが、プレスリリースによると、「0.013ドル/kWhという低コストの電力を利用できる」としている。

マイニング機器は、第1弾の約730ペタハッシュ分がすでに設置されており、数カ月で稼働を開始する予定だ。同社は新しいマイニング機器を導入しながら、2022年までに最低2エクサハッシュから、最大5エクサハッシュに拡大したいと語った。

同社は株式公開を計画しているが、時期は未定と述べた。

デジタルゴールドラッシュ

ビットコインは、14日の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)の上場を控えて値を上げている。コインベースのナスダック直接上場は、おそらく他のどんな出来事よりも、投資家にますますビットコインが受け入れられていることを示すものだ。

同じように機関投資家は、ビットコインマイニングに注目している。アメリカでは新旧のベンチャー企業がビットコイン高騰を捉えて事業を拡大し、マイニング機器の大量購入やデータセンター拡張のための資金調達が相次いでいる。

チャンCEOは、グリフォンの100%再生可能エネルギーのビジネスモデルは「優れたセールスポイントだった」と述べ、エネルギー問題は「投資家の意識の中でますます重要になっている項目」と付け加えた。

実際、米人気テレビ番組「シャーク・タンク(Shark Tank)」のスターで、O’Shares ETFの会長のケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)氏は、顧客投資家の資金をビットコインマイニングに向けており、この件は同氏と周辺の人々にとって関心事になっていると語った。

「ある人にとっては、いい意味での負担であり、またある人にとっては、マイニング事業者に投資したいと考える理由のすべてだった。いい具合にミックスしていた」(チャンCEO)

再生可能エネルギーであれ、油田の余剰ガスであれ、アメリカの投資家は2021年の「デジタルゴールドラッシュ」に積極的に投資している。カイザー会長は、中国政府の「デジタル人民元」によるプレッシャーと、アメリカのこの分野への関心が引き続きアメリカでのマイニング需要を高めているため、ゴールドラッシュはすぐに弱まることはないと考えている。

「市場にきわめて大きな嵐が訪れている。北米の機関投資家から強い関心が寄せられているが、中国はデジタル人民元を発行し、マイナーには競争力のある暗号資産を作らないよう圧力がかかっている。特に米ドルが(市場に)投下される前に、ビットコインや他の暗号資産が人気を集め、マイニングは指数関数的に成長する大きなチャンスがある」(カイザー会長)

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:US Bitcoin Mining Venture Raises $14M for All-Renewable Energy Mining