米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースの内部関係者と投資家は14日、同社株がナスダックに上場した日に合計50億ドル(約5400億円)相当を売却した。同社が16日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で明らかになった。
提出書類によると、CEOのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は、74万9999株を1株あたり381ドル〜410.40ドルで3回に分けて売却し、合計2億9180万ドル(約317億円)を手にした。
保有株の約1.5%
同社担当者は、上場前の提出書類にある、いわゆる「沈黙期間(Quiet Period)」を理由にコメントを控えたが、アームストロングCEOは保有株の約1.5%を売却したことになる。
また、取締役でベンチャーキャピタリストのフレデリック・ウィルソン(Frederick Wilson)氏は、470万株を18億2000万ドル(約1977億円)で売却した。同氏の保有株数は定かではないが、時価総額636億ドル(約6兆9100億円)のコインベースの株式の少なくとも10%を保有しているとSECへの届出書類に記載されている。
ウィルソン氏がパートナーを務めるVCのユニオン・スクエア・パートナーズ(Union Square Partners)も、運用するファンドを通じて、470万株を18億2000万ドルで売却。ファンドもコインベース株の10%を保有していると記載されている。
ウィルソン氏と同氏の会社のファンドを合わせると、売却された50億ドル相当の株の3分の2以上を占めている。
取締役で、同じく同社株の10%以上を保有するベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)氏は、自身の会社アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Howowitz)と、関連する2つの組織を合わせて合計118万株を4億4920万ドル(約488億円)で売却した。
売却は直接上場の特徴
重要な点は、内部関係者による売却はコインベースのナスダック直接上場の核心といえるものだったことだ。直接上場では、保有者の売却によって株式は市場に放出される。企業が新しい株式を発行し、その収益が企業の財源となる新規株式公開(IPO)とは異なる点だ。
直接上場で会社が利益を得ることはないが、他のかたちでのメリットがある。内部関係者が利益を得ることをはじめ、直接上場はきわめて大きなPRになる。つまり、株主を大きく拡大し、将来の資金調達がより簡単に行えるようになる。
米CoinDeskのリサーチディレクター、ノエル・アチェソン(Noelle Acheson)は、「直接上場は流動性イベント、IPOは資金調達イベント」と述べている。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:コインベースのブライアン・アームストロングCEO(CoinDesk)
|原文:Coinbase CEO Sold $291.8M in Shares on Opening Day