20日の「ドージデイ」盛り上がらず、ドージコインは29%下落

柴犬をモチーフとした暗号資産(仮想通貨)ドージコイン(DOGE)の一部のファンは、4月20日を「ドージデイ(dogeday)」と呼び、同コインの価格を1ドル、あるいはネットで話題になりそうな69セントまで上昇させる日としていた。

ドージコインの価格は今年、60倍以上に高騰したため、不可能ではないと思われた。しかし、20日午後時点(米東部時間)では、ドージコイン保有者がジョークの対象になったようだ。ドージコインは前日から28%下落し、29セント付近で取り引きされている。

「多くの個人トレーダーは、ドージコインを高騰させ、今日の『ドージデイ』を成功させたいと願っていた。利益を出すために0.50ドルを目標にする人もいれば、1ドルの大台という桁外れの望みを持つ人もいた。現在の個人投資家の熱狂はおそらく、ドージコインに見切りをつけることはないが、売りの動きが生まれる可能性はある」と、オアンダ(Oanda)のエドワード・モヤ(Edward Moya)氏はコメントした。

さらに上昇すると予測したアナリストもいたが、ドージコインは大幅に値を下げた。

「世界中で熱狂的なファンを獲得し、少なくとも短期的にはドージコインの上昇を妨げるものはほぼない。ドージコインはカジノのように面白いのかもしれない」とビットコイン価格の上昇を予測したことで知られるブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のマイク・マクグローン(Mike McGlone)氏は20日、レポートに書いていた。

ドージコインのアクティブアドレスは過去最高を記録。
出典 : Coin Metrics

短期的な利益を期待していたドージコインファンにとっては、冷や水を浴びせられる1日となった。

残る疑問は、2020年のゲームストップ株の高騰が10億ドルの資金調達や新たな経営体制、eコマース戦略への移行の可能性につながったように、2021年のドージコインの上昇が新しい資金や人材を引きつけるかどうかだ。

Coin Metricsによると、ドージコインのアクティブアドレス数は記録的に増加し、取引数は7年ぶりの高水準となった。また開発も積極的に行われており、特にビットコインを支えるソフトウェア「ビットコイン・コア」の開発者が参加していると米CoinDeskは今年初めに伝えている。

DeFiにも広がる影響力

ドージコインの盛り上がりはDeFi(分散型金融)にも広がり、ドージコインを真似た複数のDeFiトークンが1日としては驚異的な上昇を記録した。

そうしたトークンの1つが、分散型取引所ユニスワップ(Uniswap)で取引され、「ドージコイン・キラー」のニックネームを持つDeFiトークン「SHIB」だ。

イーサリアム規格に準拠したERC-20規格で作られたSHIBはこの4週間で5000%上昇し、19日にはドージコインの約43セントへの上昇と歩調を合わせて95%上昇した。ユニスワップのデータによると、SHIBの取引高はこの24時間で2億ドルを超えている。

もう1つは、大麻関連の容疑で不当に投獄された人たちに寄付するために作られたと言われるウィードドージ(WOGE)だ。WOGEは19日、0.0950ドルまで1000%以上上昇したが、当記事執筆時点、ユニスワップで0.0170ドル付近で取引されている。

「ドージコインは我々に神々しいまでの利益をもたらしている。我々もまた、さまざまな方法で恩返しができる意義深いコインを作りたかった」と米人気掲示板サイト「レディット(Reddit)」に投稿された。

こうした通常では考えられないようなことの大半は、ビットコインが年初から2倍になっている暗号資産バブルの証拠と捉えられている。

ブルームバーグのマクグローン氏は、ビットコイン価格がこの数日下落するなかで、ドージコインは「異なる強さ」を見せたと指摘した(同氏のレポートは、20日のドージコインの下落前に発表されたものだ)。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:DOGE Army Retreats, Tail Between Legs, as Dogeday Ends With 29% Drop