ビットコインの取引手数料、過去最高水準──中国の炭鉱事故も要因か

ビットコインの平均取引手数料は、過去最高水準に上昇している。ビットコインの価格上昇に加えて、中国のマイナー(マイニング事業者)の稼働停止が要因となっているようだ。

ビットコインの平均手数料が約59ドル(約6400円)に達している。2017年、前回の強気相場の際は、50ドルまで上昇した。

ビットコインの平均取引手数料は過去最高水準に
出典:Bitinfo Charts

手数料の高騰は、中国・新疆ウイグル自治区での炭鉱事故と時期が一致している。事故による停電でこの地域のマイニング施設は稼働停止を強いられている。マイニングプールのデータによると、ビットコインのハッシュレート(マイニングに使われる計算能力)は約25%低下し、125エクサハッシュ/秒となっている。

「ASIC(マイニング専用チップ)不足、ビットコイン価格の大幅な上昇がマイニング難易度を上回っていること、そしてハッシュレートの突然の低下が組み合わさって、ブロック生成時間が遅くなり、未処理の取引がたまり、ブロックごとの手数料が余計にかかっている」とコンパス・マイニング(Compass Mining)のトーマス・ヘラー(Thomas Heller)氏は語った。

ビットコイン取引に与える影響

ビットコインのハッシュレートが4分の1以上低下し、マイニング難易度が過去最高水準となるなか、ブロックはスローかつ不規則なペースでマイニングされており、マイニングに1時間以上かかるケースもあった(2時間かかったこともあるが、これは非常に稀なケース)。

このペースでいくと、ビットコインのマイニング難易度は、5月初旬に調整されることになる。マイニング難易度はおよそ2週間ごと(正確には、2016ブロックごと)に調整される。

ビットコイン難易度は通常25%までしか変更できないが、ハッシュレートの低下を修正するなら、30%の調整が必要と推計されている(つまり、多くのマイナーが稼働しない限り、今後、さらに下方修正が必要となる)。

炭鉱事故の影響を受けたマイナーが、次の難易度調整前に稼働を再開すれば、修正はそれほど大きなものにはならないだろう。

「稼働再開の予定について、この先、多くの情報が入ると期待している。事態がスムーズに進めば、週末までに稼働を再開する可能性もある」とヘラー氏は語った。

だが、同氏によると、新疆ウイグル自治区のほとんどのマイナーは、雨季に備えてマイニング機器を(水力発電で電力料金が安くなる)四川省に移動させることを待っているという。

F2プール(F2Pool)のマイナーは、中国のマイナーがいつ稼働を再開するかはわからないと米CoinDeskに語った。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:中国の炭鉱(Shutterstock)
|原文:Bitcoin Transactions Are More Expensive Than Ever