ビットコインからイーサリアムに移動する資金──イーサの上昇続く

イーサリアムとビットコインの価格比(ETH/BTC)は数年来の高水準となり、イーサリアムへの資金流入が増えていることを示している。

イーサリアムは4月に43%上昇、7%下落のビットコインの値動きからの乖離を強めている。また、イーサリアムとビットコインの価格比は0.050を上回り、2年半ぶりの高水準となっている。

「イーサリアムとビットコインの価格比は数年にわたる保ちあいを経て上昇した。この傾向は非常に強いようだ。最終的には0.10を超えると予想している」とシンガポールに拠点を置くデルタエクスチェンジ(Delta Exchange)の共同創業者兼CEO、パンカジ・バラニ(Pankaj Balani)氏は述べた。

つまり、ビットコインからイーサリアムへの現状の資金移動が今後数カ月続く可能性は高い。

ETH/BTCは上方へのブレイクアウトを示している
出典:TradingView

暗号資産運用会社のコインシェアーズ(CoinShares)が今週発表したレポートによると、イーサリアムファンドおよびイーサリアム投資商品は先週、3400万ドル(約37億円)の利益を上げ、一方、ビットコインファンドが2100万ドル(約23億円)の損失となったという。

「需要は変化している」とコインシェアーズのメルテン・デミラース(Meltem Demirors)氏は今週CNBCに語り、資本はイーサリアムからビットコインに移動していると付け加えた。

ビットコインの買いは消極的

Real Vision Groupの共同創業者兼CEO、ラウル・パル(Raoul Pal)氏もイーサリアムの高いパフォーマンスは続くと予想している。

「(より安価で供給が少ない)イーサリアム2.0の登場に合わせて、ビットコインをすべて売却せずに、ポジションをイーサリアムに移すことに苦戦している。明確に言うと、私は強力なビットコイン強気派だが、今はイーサリアムの方がパフォーマンスに優れていると考えている」 

イーサリアムとビットコインの価格比の上昇は予想されるものの、スムーズなものではないかもしれないとスタックファンド(Stack Funds)のレナード・ネオ(Lennard Neo)氏は述べる。

ビットコインの強気相場が修正される可能性は否定できず、価格比の一時的な下落につながる可能性がある。ビットコインの下落は通常、イーサリアムをはじめとするアルトコインの大きな下落につながる。

ビットコインの直近の安値4万8000ドル付近からの反発は5万5000ドル付近にとどまっており、米連邦準備制度理事会(FRB)が28日、緩和姿勢を維持したにもかかわらず、買いは消極的なままだ。

トレンドの強さと変化を示すMACDヒストグラムは2020年3月以来、初めてゼロを下回り、弱気への反転を示している。

「強気の見方を復活させるには6万ドルを超えることが求められる」とバラニ氏は言った。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:TradingView
|原文As Ether Pushes Ever Higher, Crypto Traders Plot Price in Bitcoin Terms