ブロックチェーンを活用して、アート作品にトレーサビリティと流動性をもたらす技術を開発するスタートバーン(東京・文京区)は6日、コンテンツを扱う企業がNFT(非代替性トークン)事業を容易に始められるサービスを開始すると発表した。
スタートバーンは、事業者がNFT事業を始めるためのブロックチェーンとバックエンドシステムの提供を行う。スタートバーンが展開するサービスの特徴は主に3つある。
一つ目は二次流通管理だ。国内外で人気が高まるNFTをめぐっては、多くのサービスがすでに存在する。サービス間における非互換性は、NFTの二次流通を管理することが難しくなっている。NFTがサービスを横断して取引されると、コンテンツのメタデータとして記録されている情報が途切れてしまう可能性がある。
スタートバーンは、コンテンツの権利や情報の長期的な管理が重要であると考え、事業者が二次流通までを管理できる仕組みを開発した。今回発表したNFT導入パッケージを利用すれば、コンテンツの情報や利用規約などを永続的に引き継ぎ、二次流通の管理が可能になるという。
二つ目は、デジタルだけでなくリアルなモノとNFTの情報を紐づける仕かけだ。スタートバーンはこれまで、実物のアート作品とブロックチェーン情報を紐づけるシステムを開発してきた。ICタグの技術を活用して、リアルなモノとそのデジタルツインをあわせてNFTとして流通させることが可能になる。
三つ目は、NFT業界が直面するネットワーク手数料(ガス代)高騰の課題に対する取り組みだ。NFTサービスの多くは、ガス代(イーサリアム・ブロックチェーン上での取引手数料)をユーザー側が負担しなければならない。
スタートバーンのNFT導入パッケージでは、運営サービス側がガス代を肩代わりでき、ユーザーは気軽にサービスを利用できるようになる。また、スタートバーンは、「Polygon」というレイヤー2技術を採用し、ガス代と電力消費量を削減しながらNFTサービスを構築できる仕組みを準備した。
2014年に創業したスタートバーンは、アート作品の価値担保を支える仕組みの開発を進めてきた。これまでに約2000点の作品に利用されている。集英社が今年3月に世界販売を開始した「マンガアート」の価値担保をサポートする仕組みとしても、スタートバーンの技術が利用されている。
|編集:佐藤茂
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