ビットコインのネットワークで提案されているアップグレードプロジェクトの「タップルート(Taproot)」は現在までに、その実施を確定させるために必要な数のマイナーが支持を表明している。
新たなアップデート方法である「スピーディー・トライアル(Speedy Trial)」が設定したルールによると、11月にアップグレードが実行されるには、難易度を調整する期間(約2週間)にマイニングされたブロックの9割がアップグレードを支持するシグナルを出す必要がある。
現在、ビットコインのハッシュレート(マイニングに使われる計算能力を示す指標)の94%を占めるマイニングプールは、アップグレードへの支持を表すために、タップルートの「シグナル・ビット」をブロックに含めている。
しかし、現在の難易度の調整期間はすでにシグナルを含んでいないブロックが多くなっているため、アップグレードが確定されるのは次の難易度調整期間になる模様だ。
ビットコインの次の難易度調整はおよそ9日後。スピーディー・トライアルは5月1日から始まったが、3回目の期間となる。アップグレードのシグナルを出した最初のマイニングプールは、チェコにあるSlushpool、その後、Foundry、F2Pool、Poolin、Antpoolが続いた。
注目すべきは、マイニングプールがさまざまな理由でシグナルを出したり、出さなかったりするため、シグナリングのパーセンテージが変動することだ。例えば、Poolinのシグナリング率は技術的な問題によって低下し、BTC.comは最近、理由は不明だがステータスをシグナルから非シグナルに変更している。
「タップルート」アップグレードとは?
タップルートはSegWit以来、ビットコインで大きな期待を集めているアップグレードだ。実際の変更点は、2行のコードを変更するだけの小さなものだが、タップルートによってシュノア(Schnorr)と呼ばれる新しい署名方式が導入される。
シュノアは、高度な取引ロジック、いわゆる「スマートコントラクト」への道を切り開き、マルチシグネチャ取引をより安価で、データ効率の良いものにする。また、取引のプライバシーを向上させる効果もある。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Taproot Watch
|原文:When Will Bitcoin’s Taproot Upgrade ‘Lock In’?