新型コロナウイルス感染拡大と直近のビットコインの強気相場は、暗号資産のレンディング(融資)サービス会社にとって、いわばストレステストになっていた。ビットコインは19日に急落したが、レンディング会社はその備えができていたようだ。
今回の価格下落は2020年3月に見られた急落ほどではなく、「過剰なレバレッジ」が解消されただけと、融資会社Nexoの共同創業者、アントニ・トレンチェフ(Antoni Trenchev)氏は述べた。
「相当のレバレッジ取引があったからこそ、下落が大きくなった。いまでは一掃され、もはや過剰なレバレッジは存在しない。それがこの回復の理由だ」(トレンチェフ氏)
Nexoは数週間前、市場の混乱を受けてLTV(ローン・トゥ・バリュー:担保に占める融資の割当)を大幅に引き下げる施策を講じた。これは2月にLTVを40%に引き下げたUnchained Capitalに追随するものだ。
「誰もがビットコインで多くの富を手にしており、そうした動きに不平を言うことはなかった。ストレスが軽減された」とUnchainedのCEO、ジョー・ケリー(Joe Kelly)氏は述べた。
同氏によると、今回、マージンコール(追い証)がUnchainedの貸付債権に与えた影響ははるかに小さかったという。
下落に備えるよう警告
4月下旬、Celsiusはマージンコールに備えて口座に暗号資産を追加するよう顧客にツイッターで伝え、相場の急激な下落に備えるよう警告していた。
レンディング会社はマージンコールで「数億ドル」を得たと述べたが、今回、彼らには前年よりも余裕があった。例えば2020年3月、Nexoの運用資産残高は10億ドルだったが、現在は150億ドルにのぼる。
19日のマージンコールはブロックファイ(BlockFi)の融資資産残高の約10%に影響を与えたが、2020年3月の下落では25%に及んでいたと同社CEOのザック・プリンス(Zac Prince)氏は述べた。
ブロックファイの「プラットフォームは記録的な取引量で、短時間ダウンした」が、「融資残高は健全」とプリンス氏はコメントした。
下落後、ビットコインの供給量は減少したが、午後までには流動性(資金の動き)は収まり始めたとGenesisのレンディングディレクター、マシュー・バレンスウェイグ(Matthew Ballensweig)氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
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|原文:Crypto Lenders Say Wednesday’s Crypto Crash Cleaned Up ‘Excessive Leverage’