昔から、マグネットを集めたり、カードを交換したり、スポーツの話題で盛り上がることは「社会的通貨」としての役割を果たしてきた。ノンファンジブル・トークン(NFT)は今後、同様の機能を果たしていくのだろうか?
『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー作家で、米国のシリアル起業家としても活躍するゲイリー・ヴェイナチャック(Gary Vaynerchuk)氏の答えは「イエス」だ。
VaynerXの会長で、VaynerMediaのCEOを務める同氏は、NFTを取り巻く現状は、2000年代初頭のインターネットバブルを思い出させるが、近い将来、NFTは社会的通貨の原動力になる可能性が高いと述べた。
知的財産権が最大の価値
24日、米CoinDeskが主催するカンファレンス「Consensus 2021」に登壇した同氏は、「知的財産権が最大の価値を持つ時代になる。スポーツチームにとって、テレビ放映権よりも大きな収入になるだろう」と語った。
同氏によると、人気選手はこれまでも潤沢なスポンサー契約を手にしてきたが、自分たちが「数十億ドル」の市場の行方を握っていることに気がつけば、ロイヤリティを得る可能性を含め、状況は大きく変わるという。
「多くのものが、現在の価値では見合わないものになる」可能性があり、知的財産権が持つ意味はさらに大きくなるとベイナチャック氏は述べた。知的財産権は、NFTとの親和性を高め、さらにコンサートチケットや人気レストランの予約などにも広がっていくと同氏は予想している。
「ポケモンがカードゲームで、スター・ウォーズが映画で、ハリー・ポッターが本で」IPを構築したように、NFTは有益なベンチャー企業の核となり得るとヴェイナチャック氏は言う。「ミッキーマウスの原画はコレクターズアイテム」であり、NFTは同じように将来のメディア企業の礎となる可能性がある。
デジタルの世界にとっての「パワーレンジャーやポケモン、トランスフォーマーを作ることは、真に最高のチャンス」と同氏は述べた。
スポーツ×NFTの可能性
2021年、NFTのアート作品やコレクターズアイテムは大きな注目を集めている。ダッバー・ラボ(Dapper Labs)のデジタル・トレーディングカード・プラットフォーム「NBA Top Shot」は3月下旬時点で5億7500万ドルを売り上げ、同社はマイケル・ジョーダンやケビン・デュラントなどのスター選手、俳優のウィル・スミスやアシュトン・カッチャーなどから出資を得ている。
2月、ヴェイナチャック氏はNFTプラットフォーム「Sorare」の5000万ドルの資金調達ラウンドに参加。24日の登壇中にSorareへの2万5000ドルの投資額はNFTの保有額よりも小さいが、NFT発行者にとって、スポーツは大きな可能性を秘めていると述べた。
同氏はまた、NFTは暗号資産やテスラ株と同様にオルタナティブ投資であることを指摘し、デジタル・コレクターズアイテムで利益を得ようとすることは、市場に供給があふれているため、干し草の中から針を探すようなものだと語った。
すべてのNFTプロジェクトが生き残れるわけではないが、ニューヨークの人気レストランがNFTを発行するほどにトークンエコノミーが成長すれば、「58歳のニューヨーカーもNFTを買うようになる」と付け加えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:The Next Mickey Mouse or Hello Kitty Could Be an NFT, Says Gary Vaynerchuk