資産運用大手フィデリティの中核事業であるクリアリングサービスと金融仲介の一部は、ブロックチェーン技術を利用して効率化を進める時期を迎えている。同社の機関投資家ビジネス部門、フィデリティ・インスティテューショナル(Fidelity Institutional)を率いるマイク・ダービン(Mike Durbin)氏は25日、その背景を説明した。
米CoinDeskが主催するカンファレンス「Consensus 2021」に登壇したダービン氏は「ある意味では、我々の仕事にとってきわめて大きな脅威」であり、「この技術に対しては、我々の事業を今後数年でどう変えるかなどについての知的好奇心がある。暗号資産は目立つ事例に過ぎない」と述べた。
またダービン氏は、フィデリティが暗号資産分野への取り組みを強めている主な要因は顧客の関心にあると話した。「我々は顧客の需要を大切にしている。顧客の多くは、簡単な方法での暗号資産投資を求めている第一世代の富裕層だ」(ダービン氏)。
ダービン氏は最近、イーロン・マスク氏のツイートに反応して暗号資産の価格が変動したことで、価値保存の手段としてのビットコインに対する顧客の信頼が揺らぎ、「間違いなく、少し難しい状況になっている」とも述べた。
だが同氏は、業界が成熟する過程での「一過性の出来事」に過ぎないと考えている。ビットコイン投資の主な目的の1つ──他の資産クラスとの相関関係がないことによる分散投資──は依然として有効だ。
ダービン氏はまた、個人的にも暗号資産投資に興味を持っていることを認めた。「私自身もこの数年、投資している」。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:マイク・ダービン氏(CoinDesk archives, modified by CoinDesk)
|原文:Blockchain May Be ‘an Existential Threat’ to Fidelity, Institutional Head Says