中国で暗号資産のマイニング事業に対する取り締まりが強化される中、最大手のマイナーだけが生き残る競争環境が生まれる可能性がある。中国の暗号資産マイニングへの投資を行うウォータードリップ・キャピタル(Waterdrip Capital)の共同創業者、Yusan Zheng氏が考えを述べた。
「マイニング・ハブ以外で適切な場所を見つけるには、資本やネットワークなど多くのリソースが必要になる。経験豊富で資本力のあるマイナーだけが、そうした計画を実行できるだろう」
5月21日の国務院からの通達を受け、エリア内に大規模なマイニング・ハブが存在する地方当局は、暗号資産のマイニング事業者に対して厳しい対応を始めている。海外のホスティングサイトにスペースの空きが少ないため、一部のマイナーは秘密裏に他地域で事業を続けることを計画しているが、これは一部の大手マイナーにしか実現することはできないだろう。
法律の抜け道も
新疆ウイグル自治区、四川省、内モンゴル自治区は、電力コストが安いことから中国のマイナーに人気の地域となっている。マイナーは、夏の雨季には四川省の水力発電でマイニング機器を動かし、冬は火力発電が盛んな他の2つの地域に移動する。
中国でのビットコインマイニングに早期から投資しているZheng氏は、マイナーはこれら中国西部のマイニング・ハブから、東部に移動する可能性が高いと述べた。また地方の家庭に数台ずつマイニング機器を送ることも可能だとした。
今回の取り締まりは主にマイニング・ハブをターゲットにしているため、マイニング機器を国内の目立たない場所に設置している事業者を取り締まるのは難しいだろうと同氏は述べた。
電力コストは上がるが、工場や個人の家庭を利用すれば、数百万台ものマイニング機器を簡単に再稼働させることができるという。
海外のマイニング・ハブ
また中国のマイナーは、取り締まり以降、海外のホスティングサイトを探そうとしている。
しかし、カザフスタンやロシアなど、海外の主要なマイニング・ハブには、新しいマイニングマシンを設置するための空きはほとんどない。シアトルのマイニング企業、ルクソール(Luxor)のイーサン・ベラ(Ethan Vera)氏は、北米のマイニング施設は事業を拡大しているが、中国のマイナーのマシンを受け入れる十分な能力を確保するには長い時間がかかると述べた。
「中国にあるマイニング機器を海外に移すことは不可能だ。マイナーはマシンを稼働させ続ける方法を考えなければならない」とZhengは語った。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Why China’s Crackdown May Make Bitcoin Mining More Centralized