中国の一部の投資家は依然として暗号資産市場で活発に取引しており、国内外の店頭(OTC)取引サービスを利用して規制当局の監視を逃れている。ブルームバーグが31日に報じた。
記事によると、5月18日に中国政府が改めて暗号資産取引サービスの禁止を表明して以来、売買を行う当事者同士が取引所を介さずに行うOTC取引が活発化しているという。
市場では中国での取り締まりに反応して、当初はパニック売りが広がり、ビットコイン(BTC)は翌日、3万ドル付近の安値となった。その後、人民元とステーブルコインのテザー(USDT)の交換レート「CNY/USDT」の上昇にも見られるように市場心理は回復している。
暗号資産データサイトのFeixiaohaoによると、レートはビットコイン価格の下落時に見られた5%下落のほぼ半分まで回復している。パニック売りは通常、ステーブルコイン・テザーの需要を高め、CNY/USDTを下落させる。
レートの回復は、大幅な売りが終わったことを示しており、主に暗号資産取引所のフォビ(Huobi)とオーケーエックス(OKEx)が運営している中国国内の店頭取引(OTC)サービスでの人民元建て取引の増加を示している。
監視に苦戦する当局
こうした取引は、ブルームバーグが指摘したように2段階で行われる。第1段階では、OTC取引での注文のマッチングが行われ、第2段階では、別のプラットフォームやアント・グループ(Ant Group)のようなフィンテック企業を通じて、人民元の支払いが行われる。
その結果、当局は取引の監視に苦戦している。だが人民元の決済は中国の金融システム内で行われるため、大規模な資本流出のリスクはかなり低い。
それでも、中国政府は投機を抑える措置を講じている。例えば、北京警察は最近、暗号資産取引についてのリスクを警告する印刷物を配布したとブルームバーグは伝えている。
中国が初めて、金融機関によるビットコインの取り扱いを禁止したのは2013年。2017年にはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を違法とした。こうした措置により当時、ビットコイン価格は急激に下落した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
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|原文:Chinese Traders Use OTC Desks to Bypass Regulatory Hurdles: Report