投資家がビットコイン(BTC)の売りを強めているなか、イーサリアム(ETH)の1日あたりの取引高は一貫してビットコインを上回っている。
●ビットコインは、1日21時(協定世界時:UTC/日本時間2日6時)時点、35,987ドル前後で取引され、過去24時間で2.5%下落。
●ビットコインの24時間レンジ:3万5,754ドル~3万7,833ドル(CoinDesk 20のデータ)。
●イーサリアムは、2,549ドル前後で取引され、過去24時間で3.2%下落。
●イーサリアムの24時間レンジ:2,532~2,734ドル。
ビットコインの弱気シグナル
ビットコインはテクニカル分析においては、弱気シグナルが目立つ。
「ビットコインは、中間的な観点から売られ過ぎている」とフェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)の創業者、ケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏は31日の週刊リサーチノートで述べている。
売られ過ぎ状態
先週末は、取引所からのビットコイン送金が2021年で最も少なくなった。データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、5月30日、1日あたりの送金は3万3393ビットコインまで落ち込んだ。3万5000ビットコインを割るのは、今年初めてのこと。
対照的にこの1カ月、取引所への平均送金額は上昇しており、特に5月19日には2ビットコインとなった。これは、2021年のここまでの平均送金額0.67ビットコインの約3倍にあたる。
こうしたグラスノードのオンチェーンデータからは、投資家がビットコインを取引所に移動させて売却し、30日の安値につながったことが読みとれると、ストックトン氏は説明する。
「中期的なモメンタムは下降しており、修正局面のなかで高値は低いものになるだろう。支持線は当面、3万4000ドル付近にある」とストックトン氏。
イーサリアムは修正局面
イーサリアムはテクニカル分析では、横ばいシグナル。
「イーサリアムは、ビットコインと同様の急激な修正となっている。中期的なモメンタムは悪化し、2038ドル付近が支持線だ」(ストックトン氏)
過去3カ月、ビットコインの90日ボラティリティは比較的高かったが、イーサリアムはさらに高い。CoinDesk Researchのデータによると、2つの暗号資産のボラティリティは4月中旬に底を打ち、イーサリアムのボラティリティは170%を超えている。一方、ビットコインはまだ100%を下回っている。
「まさに不安定な日々。イーサリアムはもともと、機関投資家が少なく、時価総額も小さいため、ビットコインよりもボラティリティが高い」とスイスクオート銀行(Swissquote Bank)のクリス・トーマス(Chris Thomas)氏は述べる。
イーサリアムの価格回復の理由
イーサリアムの価格回復力の理由の1つは、取引高がビットコインを上回り始め、流動性が高まっていることだろう。
「ここ数日、イーサリアムとビットコインは同じような割合で下落している。しかし、イーサリアムはここ数週間の週末の変動を経て、下落分をかなり回復した」と暗号資産カストディを手がけるトライタム(Tritum)のCEO、ジョン・ウィロック(John Willock)氏は述べた。
CoinGeckoの最新データによると、大手暗号資産取引所でのイーサリアムの取引高は31日、4300万ドル。一方、ビットコインは3700万ドルだった。
過去1カ月で、イーサリアムの取引高がビットコインを上回ったのは、合計12日。過去1週間では、4日だった。取引高は価格に影響を与えるため、アナリストはこの傾向を注意深く見守っている。
「イーサリアムは、それ自体が魅力的な資産として急速に認知されつつある」(ウィロック氏)
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: ‘Oversold’ Bitcoin Down to $35K, ETH Drops to $2.5K