ビットコインは14日10時時点、3万9000ドル付近で取引され、過去24時間で約9%の上昇となった。米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOが、ビットコイン決済再開の条件をツイートしたことが好材料にもなったようだ。
ビットコインは先週はじめ、3万ドル近くまで下落し、20週単純移動平均(SMA)に対する比率は0.61まで下がり、2020年3月の暴落時以来の低水準となった。これまで、ビットコインは同指標0.60付近で大幅な下落の底を打っており、反転の可能性を示している。
「グラフを見ると、ビットコインは20週移動平均に対して大きく下落し、2020年3月に4000ドル付近まで暴落したとき以来の数値となっている。同様に2018年末にも価格は3000ドル付近まで下落していた」とブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のマイク・マッグローン(Mike McGlone)氏は9日、レポートに記した。
過去データが参考になるなら、8日の3万ドル付近の安値も弱気相場の底になる可能性がある。マッグローン氏は、市場心理はやや弱気になり過ぎており、これは市場の底でよく見られる特徴だと述べた。
「2万ドルを予想する意見や、『デスクロス』などのテクニカル分析でのパターンは、ファンダメンタルズを重視する長期的な強気派にとって購入のきっかけになることが多い」(マッグローン氏)
デスクロス(50日移動平均線が200日移動平均線を下回るときに出現するパターン)は、一般的に長期的な弱気相場に入ったことを表すと考えられている。
デスクロスはベアトラップ(弱気のわな)か
一部のアナリストは、デスクロスによってビットコインはさらに下落するのではないかと懸念しているが、そうした指標は過去のデータに基づいているため、価格動向に遅れる傾向があり、トレーダーの判断を誤らせることがある。
つまり、デスクロスが起こる頃には、すでにビットコインは売られ過ぎており、反発の準備が整っているといえる。過去2回、2019年10月と2020年3月のデスクロスでは、ビットコインは下落直後に反転し、いわゆる「ベアトラップ(弱気のわな)」になった。
ブロックチェーンデータは、大口投資家が中国での暗号資産マイニングへの規制やデスクロスの恐れに対抗して、ビットコインを買い進めていることを示している。
マクグローン氏は、ビットコインの長期的な価格見通しについて、依然として楽観的だ。「価格発見の初期段階にあるうえ、メインストリームへの普及とアメリカでのETF(上場投資信託)の必然性から、10万ドルは見えている」と語った。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Bloomberg Intelligence, Mike McGlone
|原文:Bitcoin’s Steep Price Discount Seems Similar to March 2020 Bottom