前回の記事(https://www.coindeskjapan.com/112529/)に引き続き、本記事では以下8社の金融機関およびシンクタンクの為替相場見通しをまとめる。
- しんきんアセットマネジメント
- 農林中金全共連アセットマネジメント
- 東京海上アセットマネジメント
- 日本総合研究所
- ソニーフィナンシャルホールディングス
- ニッセイアセットマネジメント
- SOMPOアセットマネジメント
- 第一生命経済研究所
※発表が早い順
なお、各社による予想は執筆時期が異なる点(公表は2021年6月7~15日)、また将来の値動きについて保証するものではない点に留意いただきたい。
しんきんAM、今後1年間のドル円を102~112円と予想
しんきんアセットマネジメント投信は6月7日、「海外経済の現状と見通し(2021年6月)」の中で、2022年6月までの「米ドル/円」および「ユーロ/円」レンジを以下のように予想した。
しんきんAM 2022年6月までの為替見通し
2021年6月~2022年6月 | |
ドル円 | 102─112 |
ユーロ円 | 128─135 |
米国の雇用回復と消費拡大の継続を見込む。一方で米国の金融緩和の長期化も予想した。これを背景に金利は緩やかな上昇にとどまり、米ドル安圧力の残存を予想した。
農林中金AM、当面ドル円の横ばいを予想
農林中金全共連アセットマネジメントは6月7日、「NZAM マンスリーレポート(2021年6月号)」の中で「米ドル/円」の当面の横ばいを予想した。
米国の経済回復期待はドル高圧力となる一方、米中銀(FRB)の金融緩和の継続がドル安圧力になると指摘。横ばい圏での推移を見込む。
ほかにドル高・ドル安それぞれの要因として以下を挙げた。
円安・ドル高要因
- 米国経済の想定以上の回復
- 米欧政治リスクを巡る不透明感の後退
- 米国の通商政策を巡る不透明感の後退
- 新型肺炎の感染再拡大に対する懸念の後退
円高・ドル安要因
- 米国経済の回復鈍化
- 米欧政治リスクを巡る不透明感の高まり
- 米国の通商政策を巡る不透明感の高まり
- 新型肺炎の感染再拡大に対する懸念の高まり
東京海上AM、円安米ドル高を予想
東京海上アセットマネジメントは6月7日、「月次マーケット・レビュー」の中で円安・ドル高の展開を予想した。
米国の緩和政策の縮小が意識され、米金利の上昇を見込む。さらに財政支援策やワクチン普及による経済回復期待が円安・ドル高に導くと指摘した。
日本総研、米ドル&ユーロ予想レンジを上方修正
日本総合研究所は6月7日、「為替相場展望(2021年6月)」で為替相場を以下のように予想した。
日本総研 2022年1~3月期までの為替相場見通し
2021年 4~6月 | 2021年 7~9月 | 2021年 10~12月 | 2022年 1~3月 | |
ドル円 | 105─113 (109) | 107─115 (111) | 108─116 (112) | 108─116 (112) |
ユーロドル | 1.17─1.25 (1.21) | 1.18─1.26 (1.22) | 1.17─1.25 (1.21) | 1.17─1.25 (1.21) |
ユーロ円 | 126─138 (132) | 129─141 (135) | 129─141 (135) | 130─142 (136) |
上記予想は前回より上方修正されている。「米ドル/円」については2021年7~9月および2021年10~12月期が、「ユーロ/米ドル」および「ユーロ/円」については全期間で上方修正された。
米国の金融緩和縮小が意識されることからドル高基調を見込むも、米金利の上昇余地は限定的とみる。金融緩和縮小の織り込み後はドル高の一服を予想した。
ソニーフィナンシャル、ドル円&ポンド円短期予想レンジを上方修正
ソニーフィナンシャルホールディングスは6月9日、「Monthly Global Market Report(2021年6月号)」の中で、為替相場を以下のように予想した。
ソニーフィナンシャル 今後1か月および3カ月の為替見通し
1か月 | 3カ月 | |
ドル円 | 108─110.5 | 108─111.5 |
ユーロ円 | 130─134.5 | 129─137.5 |
ポンド円 | 152─157 | 145─158 |
前回の予想より「米ドル/円」および「英ポンド/円」の予想レンジを上方修正した。「ユーロ/円」については据え置いた。
「米ドル/円」は米中銀総裁による8月ジャクソンホール講演まで緩やかな上昇を見込む。特に3月末高値110.97円を上抜けた場合、上昇トレンドがより明確になると指摘した。
ニッセイAM、原油高から当面の円安基調を予想
ニッセイアセットマネジメントは6月10日、マンスリーレポート「為替見通し(2021年06月)」の中で、当面「米ドル/円」の上昇基調を予想した。
足元では日米金利差を意識し投機的円売りポジションが高まっているが、今後は実需面でも円売り需要が高まると指摘。原油価格上昇に伴う日本の貿易収支悪化によるもの。円安・ドル高基調の継続を予想した。
SOMPO AM、22年3月末ドル円を110円と予想
SOMPOアセットマネジメントは6月10日、マンスリーレポート「経済・金融市場見通し(2021年6月)」の中で、2022年3月末までの「米ドル/円」レートを以下のように予想した。
SOMPO AM 2022年3月末までの為替相場見通し
2021年 9月末 | 2021年 12月末 | 2022年 3月末 | |
ドル円 | 109.5 | 109.75 | 110 |
米金利上昇が一服していること、また米国マネタリーベースが過去最大規模に拡大していることなどからドル安を予想。しかし米経済の早期回復期待や米中銀の緩和縮小の観測が米ドルを下支えするとも指摘した。
第一生命経済研究所、先行き1年間ドル円を113円と予想
第一生命経済研究所経済調査部主任エコノミストの「藤代 宏一」氏は6月15日、「米ドル/円」の先行き1年間について113円程度での推移を予想した。
インフレが長期化するケースでは米金利が上昇すると指摘。新型コロナからの回復から企業の人手不足感が高まっており、賃金上昇圧力が高まっているとみる。労働コストが価格に転嫁されることでインフレが長期化し、金利上昇要因になり得ると指摘した。
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|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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