ビットコイン(BTC)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2023年後半までに金利を引き上げる可能性があるという発表を受けて下落した。株式や暗号資産のような高リスク資産も、FRBが緩和政策を予想よりも早く終了させるかもしれないという懸念からプレッシャーを受けたようだ。
だが一部のアナリストは、インフレ率が上昇し続ければ、ビットコインは回復力を維持し、伝統的な市場よりも優れたパフォーマンスを発揮する可能性があると考えている。
デジタル資産サービス会社のEQUOSは16日に発行したニュースレターで、リスク資産全体の下げの動きを「お決まりの反応」と表現した。
「ビットコインと株式は、実際よりも、乱気流の中で同じような動きをするだろう。インフレになれば、ビットコインは株式を上回るパフォーマンスをあげる可能性が高い」(EQUOS)
最新価格
当記事執筆時点での最新価格は以下のとおり。
●ビットコイン (BTC):37,546.2ドル(過去24時間 −2.45%)
●イーサリアム(ETH):2,326.63ドル(−3.75%)
●S&P500:4,221.86(−0.04%)
●ゴールド:1,772.94ドル(−2.19%)
●米国債10年物:1.52%
下図を見ると、ビットコインと米主要株価指数S&P500の90日相関は今年に入ってから上昇している。
「これまで、ビットコインの強気相場サイクルは、コアCPI(消費者物価指数)の対前年比での上昇を伴う傾向があった。(中略)弱気相場サイクルはCPIが下がったときに起きている」と、米金融調査会社ファンドストラット(FundStrat)のデビッド・グライダー(David Grider)氏は19日のニュースレターに記した。
ビットコインはインフレのリスクヘッジとして広く考えられているが、グライダー氏によると、インフレ時の金融緩和政策から恩恵を受けているだけかもしれないという。
インフレ率の上昇を受けて、FRBが量的緩和(QE)のテーパリング(段階的縮小)を実施すれば、この状況は変わる可能性がある。
MRBパートナーズは16日のニュースレターに「FRBは12月中に、2021年1月からQEを縮小すると発表すると見ている」と書いている。
ビットコイン資金調達率がマイナスに
5月以降、暗号資産デリバティブの一種、ビットコイン・パーペチュアル・スワップにおけるロングポジションの資金調達コストはマイナスになっている。このような状況は、ときにスポット価格の回復に先行する。
小口保有者が増加
グラスノード(Glassnode)のデータによると、ビットコインの保有残高が1BTC未満の保有者は、全体でビットコイン流通量の約5%を保有している。これはビットコイン市場における小口保有者の存在感が増えていることを示している。
アルトコインの状況
個人投資家に加えて、多くの機関投資家や大口投資家がポリゴン(Polygon)に注目している。ブロックチェーンデータ調査会社Nansenがまとめたデータによると、6月はじめ、ポリゴンでの1日のステーブルコイン取引高の約65%は、100万ドル以上の取引だったという。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Fundstrat
|原文:Market Wrap: Bitcoin Struggles Below $40K as Traders Digest Fed Statement