ビットコインは29日に値を上げ、当記事執筆時点、過去24時間で約6%の上昇となっている。暗号資産市場は中国やイギリスでの規制強化にもかかわらず、回復力を維持している。イギリスではいくつもの暗号資産企業が規制強化のために英金融行動監視機構(FCA)への登録を断念したと28日、ロイターは伝えた。
「悪いニュースに直面するなかで価格が上昇していることは売り手の疲弊のサインかもしれない。価格上昇に必要なことだ」と金融調査会社ファンドストラット(FundStrat)のデビッド・グライダー(David Grider)氏は28日のニュースレターに記した。
最新価格
●ビットコイン(BTC):3万6387.21ドル(+5.74%:過去24時間)
●イーサリアム(ETH):2221.89ドル(+5.27%)
●S&P500:4291.67(+0.025%)
●ゴールド:1761.22ドル(−0.97%)
●10年物米国債:1.475%(28日:1.472%)
2日の雇用統計に注目
「価格が上昇トレンドを再確立するなか、やや不安定な市場が続く可能性がある。3万1000ドルのレベルを再度試す可能性はあるが、全体的には年内は強気を維持するだろう」(グライダー氏)
アナリストは7月2日に発表される米雇用統計の数字を待っている。この数字は暗号資産をはじめとするリスク資産に影響を与える可能性がある。
「2日の雇用統計が予想よりも強い数字となった場合、FRBは予想よりも早く利上げを行うと予想できる」とフィンテック企業、ツー・プライム(Two Prime)のアレクサンダー・ブラム(Alexander Blum)氏はコメントした。
ビットコインのリターン
ビットコインの年初からのリターンは約20%、米主要株価指数S&P500を上回っているが、トムソン・ロイター・コアコモディティCRB指数を下回っている。
この1年で見ると、ビットコインとイーサリアムのパフォーマンスは、グーグルの親会社であるアルファベットやテスラのような米株式市場の人気銘柄と同様のものになっている。
過去の強気サイクルから逸脱
現在のビットコインの強気サイクルは、2013年と2017年のサイクルから逸脱している。規制強化、環境問題、イーロン・マスク氏のツイートなどのさまざまな要因が重なり、2021年の強気サイクルは中断した。
「各サイクルは最終的にはユニークであることに留意してほしい。2013年のサイクルは最初の半減期から370日後にピークを迎え、2017年のサイクルは2回目の半減期から524日後にピークを迎えた。半減期は事実上、新しいサイクルの始まりとなっている」とコイン・メトリクス(Coin Metrics)は28日のニュースレターに記している。
ビットコインは現在、2020年5月の3回目の半減期から413日後にある。
ヘッジファンド、ショートポジションを解消
スキュー(Skew)のデータによると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの6月のビットコイン先物の建玉(未決済の契約送風)は13.9億ドルで、年初来の低水準となっている。
スポット(現物)市場と先物市場の価格差を利用するキャッシュ・アンド・キャリー戦略で利益をあげることが難しくなったため、ヘッジファンドがショートポジション(売り持ちポジション)を解消していることを示していると、アーケーン・リサーチは述べた。
ヘッジファンドは、ピーク時には15億ドル相当のビットコイン先物をショートしていたが、アーケーンによると、現在は4億ドルまで減少している。
アルトコインの状況
●イーサリアムの取引手数料:イーサリアムの取引手数料(ガス代)は、チェーン上の動きが冷え込んでいる一方で、ポリゴン(Polygon/MATIC)のようなレイヤー2ソリューションの利用が増加しているため、12月以来の低水準まで低下している。
●DeFi(分散型金融)へのAI(人工知能)活用:英ケンブリッジに拠点とし、暗号資産分野に注力しているAI研究所のFetch.aiは、DeFi市場での損失リスクに備えるサービスを開始した。DeFi Agentsは特定のトークンの取引レートが一定レベルまで下がった場合など事前に設定した条件に基づいて、ユーザーの資金をユニスワップ(Uniswap)v2やパンケーキスワップ(PancakeSwap)から自動的に引き出すことができる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Coin Metrics
|原文:Market Wrap: Bitcoin Pushes Higher as Short Bets Unwind