金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が暗号資産(仮想通貨)に注目している。
FinCENは30日、優先事項として次の8つ──汚職/サイバー犯罪と身代金の暗号資産/テロ資金供与/詐欺/多国籍犯罪組織の活動/麻薬密売/人身売買/拡散金融──をあげた。
現状、これらの優先事項は政策とリンクしていない。FinCENは「金融機関がAML(アンチマネーロンダリング)プログラムにこれらの優先事項をどのようにして取り入れるべきかを明示した規則を後日発行する」としている。
暗号資産の可能性を損なう
FinCENは、2020年後半から暗号資産に対するこうしたアプローチに取り組んできた。当時、大口取引を行う個人ウォレットの特定を暗号資産取引所に義務づけるルールを財務省が提示し、議論を呼んだ。
FinCENが暗号資産とサイバー犯罪を優先事項に含めたことは、コロニアル・パイプラインがランサムウエア攻撃を受け、ビットコインで身代金を支払うなど、大規模な事件が続いたことも一因となっている。
「米財務省は特にサイバー攻撃を利用した金融犯罪、ランサムウエア攻撃、そして暗号資産の革新的な可能性を悪用し損なう不正資金洗浄などの不正使用を懸念している」(FinCEN)
FinCENは暗号資産を「金融の大きな革新」と捉えているが、ランサムウエアや違法薬物、さらには「国にとって最大級の脅威となる者が違法行為や核兵器への野望を進めるために使う」など、さまざまな違法行為にとって「最適な決済形態」になっていると述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Cryptocurrencies Are on FinCEN’s First ‘National Priorities’ List