トロン(Tron)ブロックチェーン上の米ドル連動型ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」の流通量が1カ月足らずで1億800万ドルを超えた。これは暗号資産トレーダーがイーサリアムよりも高速で、安価な取引手数料のブロックチェーンにますます注目していることを示すもう1つのサインかもしれない。
このデータは、USDコインの発行に携わる米決済企業のサークル(Circle)がトロンブロックチェーンへの対応を発表したわずか1日後に明らかになった。サークルのウェブサイトによると、トロンへの拡大の目標の1つは「アジアや世界中で(USDCの)成長を可能にすること」にある。
ブロックチェーンのデータによると、トロンブロックチェーンでのUSDコインのはじめての送金は6月11日だった。
トロンブロックチェーンは、すでに同ネットワーク上でステーブルコイン最大の時価総額を誇るテザー(USDT)が急速に成長していることで注目を集めていた。トレーダーはより速く、安価な取引が可能なブロックチェーンを好むため、イーサリアム上よりもトロン上のテザーの方が多くなっている。
時価総額はテザーが上回っているが、CoinGeckoのデータによると、DeFi(分散型金融)でのUSDコインの普及が急速に進んでいる。グラスノード(Glassnode)のデータを見ると、USDコインの供給量の半分近くは現在、スマートコントラクトで使用されている。
トロンとイーサリアムでのUSDコインの用途の違いは、トロンでは主に取引所間の送金に使われているだとメッサーリ(Messari)のライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏は述べた。同氏はトロンでのUSDコイン供給量のほぼすべてが上位10アドレスに集中していると指摘した。
ワトキンス氏によると、テザーおよび今回のUSDコインのトロン上での成長は「多くの取引所が高価な取引手数料を避けるためにイーサリアムからトロンに資金を移動させただけ」かもしれないという。
トロンの創業者、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏は、USDコインの供給量が上位アドレスに集中していることは、イーサリアム上のUSDコインをトロン上のUSDコインに交換する取引所の「準備金」となっていることを示していると語った。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Glassnode
|原文:USDC on Tron Blockchain Surpasses $100M 2 Days After Public Unveiling