ベア(熊)は春に冬眠から覚めるが、暗号市場もまさにそうだった。ベア(弱気相場)は春に目覚めた。
中国の規制当局がビットコインマイニングへの規制を強化したことや、ビットコインの大量のエネルギー使用に改めて注目が集まったことで暗号資産の価格は全体的に下落した。その一方で、DeFi(分散型金融)やイーサリアム、ビットコインの技術開発は続いた。
CoinDesk 20のパフォーマンス
第2四半期(4−6月期)、主要な暗号資産をピックアップしたCoinDesk 20の暗号資産はほとんどが下落した。ビットコイン(BTC)はパフォーマンスが過去3番目に悪い四半期となった。一方、イーサリアム(ETH)は18.7%上昇して四半期を終えた。
市場は弱気か強気か
CoinDesk Researchは、暗号資産が弱気相場なのか強気相場なのかを判断するための簡単な指標を作成。すなわちCoinDesk Bitcoin Price Index(XBX)が20%変化した後、以前の高値または安値に戻らない日が90日以上続いたかどうかを調査した。ビットコインを基準にした理由は、暗号資産全体の時価総額に占める割合が大きく、市場全体のベンチマークとなるため。
結果は下図のとおり。ビットコインは7月13日までに価格が反転して6万4888.99ドルを上回らない限り、弱気相場の初期段階にあると考えられる。
中国のビットコインマイニング規制
第2四半期、ビットコインの値動きが弱気反転した要因として考えられるのは、中国政府が国内のビットコインマイニングに対して再度、規制を強化したことだ。
中国のビットコインマイナー(マイニング事業者)のほとんどは、操業停止あるいは規模縮小を強いられた。その結果、ビットコインのハッシュレート(ネットワーク全体の計算能力)は1秒あたり約1億7000万テラハッシュから約9000万テラハッシュへと大幅に低下し、1日あたりの平均ブロックタイムは23分という記録的な長さとなった。
技術的な進展
弱気な市場センチメントとネガティブなニュースにもかかわらず、ビットコインとイーサリアムは第2四半期、技術的な進歩を続けた。
ビットコインはここ数年で最も重要なアップデート「タップルート」を実施するための「スピーディ・トライヤル」をクリアし、イーサリアムの大規模アップデート「ロンドン」は2つのテストネットでの稼働成功を経て、8月4日の実施が確定した。こうした取り組みは、ビットコインとイーサリアムの価値提案が活発に変化し、進化していることを浮き彫りにしている。
またDeFi(分散型金融)エコシステムは、弱気相場のなかでも成長を続け、DeFiにロック(預け入れ)された金額は第2四半期に約13%増加した。
注目すべきは、第2四半期にDeFiにロックされたイーサリアムは減少していること。これはDeFiの担保や流動性を確保するために、ステーブルコインやガバナンストークン、さまざまなERC-20トークンなど、他のタイプの暗号資産の使用が増加していることを示している。
CoinDesk Research 2021年第2四半期(4−6月期)レビューの完全版ダウンロードはこちら。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Indexes, CoinGecko
|原文:Bear Markets Don’t Scare Protocol Developers: CoinDesk 2021 Q2 Review