韓国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロット版開発は3社が争うことになった。
韓国銀行(BOK)は7月12日、LINEプラス(Line Plus)、グラウンドX(Ground X)、SK C&Cの3社がCBDC研究開発業務の入札に参加したことを認めた。
BOKは5月、CBDCのテストに向けて「技術サプライヤー」を選定する入札を行うと発表した。だがBOKはテスト終了後にCBDCを発行するか否かを決定していない。CBDCの採用と実現可能性についての「予備的な調査」のみを行うとしている。
BOKは、3社の技術力を評価したうえで、8月中に選定結果を発表する予定だ。落札企業は2021年8月から2022年6月まで、同国のCBDCのテストを担当する。
パイロット版開発は2つのフェーズに分かれている。第1フェーズは2021年8月から12月まで。ここでは技術基盤の構築に注力し、CBDC発行に必要な具体的技術を決定する。
第2フェーズは2022年1月から6月。実際の取引や決済、CBDCを使ったデジタル資産の購入、プライバシー保護の実装に重点を置く。
入札企業
LINEプラスは検索大手ネイバー(Naver)の関連会社、グラウンドXはモバイルプラットフォーム、カカオ(Kakao)のブロックチェーン子会社、SK C&Cは韓国の財閥、SKグループのIT・システムインテグレーション(SI)会社だ。
LINEプラスとグラウンドXは、BOKのCBDCプロジェクトに早くから関心を示していた。2020年、BOKがCBDCの検討を開始した際、両社はコンサルタントとして参画した。
LINEプラスは7月11日、CBDCとブロックチェーン技術についてのウェブサイトを開設。CBDCプラットフォームとして、ネットワーク層、コンセンサス層、アプリケーション層の3層構造のブロックチェーンを開発するとしている。
また同社のブロックチェーンは他国のCBDCブロックチェーンとのやり取りを可能にするインターチェーンプロトコルをサポートすると述べた。
グラウンドXは、独自のブロックチェーンプラットフォーム「Kraytn」を運営、LGエレクトロニクスや暗号資産取引所のバイナンス(Binance)などが参加する協議会を設置している。
またグラウンドXは、シンガポール、オーストラリア、タイのCBDCプロジェクトにおいて技術開発を行った。
SK C&Cは2020年6月、イーサリアムをベースにしたプライベート・エンタープライズブロックチェーン「ChainZ」を立ち上げた。認証された企業はチェーン上で独自トークンを発行・取引することが可能になる。またSK C&Cは独自の暗号鍵回復サービスを提供している。
複数企業によるコンソーシアムは入札への参加を認められなかった。韓国銀行はCBDCのパイロット版がまだ研究開発フェーズにあるうちは、単一の事業体との提携を考えていたという。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:韓国銀行(Shutterstock)
|原文:3 Firms Vie to Develop South Korea’s CBDC Pilot