ビットコインは19日に3万ドルを割った後、20日当記事執筆時点では2万9600ドル付近で取引されている。規制リスクへの懸念、緩和政策の引き締め、機関投資家需要の縮小などがこの数カ月の売り圧力につながっている。
オアンダのエドワード・モヤ氏は、ビットコインの取引環境を「ベア(弱気)とブル(強気)の綱引き」と表現した。
「ビットコインの長期的な強気見通しは、アメリカやヨーロッパでのメインストリームへの普及に依存しており、一部ではそれが危険にさらされているようだ」(モヤ氏)
最新価格
●ビットコイン (BTC):2万9814.97ドル、−3.13%(過去24時間)
●イーサリアム(ETH):1792.4ドル、−1.86%
●S&P500:4324、+1.54%
●ゴールド:1809.9ドル、−0.2%
●10年物米国債:1.213%(19日:1.201%)
EU委員会はアンチマネーロンダリング規則の見直しを提案しており、それには匿名の暗号資産ウォレットの禁止が含まれる可能性がある。だがモヤ氏によると、20日の市場センチメントの改善にはつながらなかった。
法律事務所トロートマン・サンダース(Troutman Pepper)のパートナー、ティモシー・バトラー(Timothy Butler)氏は「連邦政府および州レベルでは、ビットコインの下落とそれに伴う多くの個人投資家の損失により、この市場に規制の目がさらに集中すると考えている」と米CoinDeskにコメントした。
規制に加えてトレーダーは、21日に開催されるカンファレンス「The B Word」で講演を予定しているテスラCEO、イーロン・マスク氏のコメントにも注目している。フォーチュンのショーン・タリー(Shawn Tully)氏は、ビットコインが2万5000ドルまで下落し、テスラが3億ドルの損失を被る可能性があることを考慮すると、マスク氏の登壇はきわめてタイムリーと述べた。
ビットコインのボラティリティ
ビットコインが3万ドルを割ったことで短期のインプライド・ボラティリティは上昇、オプショントレーダーが今後の急激な価格変動を予測していることを示している。
「このレベルで圧力が続くと、下落傾向が続く可能性がある」とデジタル資産投資会社Two Primeのネイサン・コックス(Nathan Cox)氏は述べた。
先物は逆ざや
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物は、先物がスポット(現物)価格よりも割安となる「バックワーデーション(backwardation)=逆ざや」となった。アーケーン・リサーチ(Arcane Research)のレポートによると、CMEで先物が逆ざやとなるのは、1週間で2回目のことだ。
「機関投資家は現在、きわめて慎重になっているようで、一般的には脱リスクのプロセスにあるようだ」(アーケーン・リサーチ)
ビットコインのドローダウン
ビットコインのドローダウン(ピークからの下落率)は約50%。一般的に50%を超えるドローダウンは、2018年や2019年下半期と同様、数カ月間続く可能性がある。
下落を確認するには、3万ドルを下回る日足終値が2回必要とフェアリード・ストラテジーズのケイティ・ストックトン氏は米CoinDeskにメールで述べている。
機関投資家需要は低迷
グラスノードによると、ビットコインETP(上場取引型金融商品)の1つ、Purpose Exchange-Traded Fundは、5月と6月は比較的強い需要があったが、今週は純流入が鈍化している。
これはビットコインに対する機関投資家の需要が依然として弱いことを示しているとグラスノードは述べた。
アルトコイン状況
●ドージコイン(DOGE):柴犬をモチーフにしたドージコインに代表されるミームトークンの下落は、このところの市場の下落が多くの新規参入者を怯えさせ、暗号資産からの撤退を促していることを示している。
●USDコイン(USDC):米決済大手のサークル(Circle)は7月16日付の認証レポートで、はじめてUSDコインの裏付け資産の内訳を公表した。レポートによると、USDコインの約61%は「現金および現金同等物」、つまり現金やMMFで裏付けられている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Arcane Research
|原文:Market Wrap: What’s Next for Bitcoin After Break Below $30K