米ドル連動型ステーブルコイン、テザー(USDT)のイーサリアムブロックチェーンでの使用状況は、アジアの取引時間から欧米の取引時間へとわずかに遅い時間にシフトしている。おそらく中国での暗号資産(仮想通貨)への規制や、USDTユーザーが他のブロックチェーンに移行していることが理由だろう。
ブロックチェーン分析会社コインメトリクス(Coin Metrics)のレポートによると、2020年、イーサリアムブロックチェーンでのテザー(USDT)の動きのほとんどは、協定世界時(UTC)2時〜14時に発生し、6時〜8時が最も活発だった。だが2021年は2時〜6時の動きは少なく、15時〜20時が多くなっているという。
投資家は24時間365日、暗号資産を取引できるが、世界各地域の証券取引所の取引時間は、各地域のトレーダーが活発に取引を行う時間と考えることができる。
複数の要因
コインメトリクスによると、イーサリアムブロックチェーンでのテザー(USDT)の使用パターンの変化には複数の要因が考えられるという。たとえば、ユーザーが取引手数料の高いイーサリアムから、トロンやソラナなど、取引手数料が安価な他のブロックチェーンに移行したことなどだ。
また中国が5月以降、暗号資産の取引やマイニングへの規制を強化したため、マイナーや投資家の動きがアジアでのテザー(USDT)の使用低下につながった可能性もある。だが変化は5月以前から起きていたとコインメトリクスは指摘している。
テザー(USDT)をDeFi(分散型金融)の担保として使用するケースが増えている可能性もある。
一方、ライバルのステーブルコインであるUSDコイン(USDC)はアメリカの取引時間に合わせて、協定世界時14時〜22時に最も多く使用されている。ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は1日を通して、より均等に使用されている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Coin Metrics Network Data Pro
|原文:USDT Usage on Ethereum Shifts Away From Asia Daytime Hours