クジラとマイナーが教える ビットコイン強気相場再開の兆候【Krakenリサーチ】

先月末に一時10週間ぶりの高値である4万2400ドルをつけたビットコインだが、ここ2、3日は4万ドル付近で保ち合いが続いている。果たしてビットコイン(BTC)は強気相場に戻ったのかと疑問に持つ市場関係者も多いだろう。

クラーケン・インテリジェンスの今月のレポートによると、大口投資家を意味する「クジラ」と、「マイナー」によるビットコイン保有動向から、強気相場復活の兆候が見られるとのことだ。

クジラが復活

他の全ての資産と同様、ビットコインの価格は需要と供給の関係で決まると言っても過言ではない。このため、オンチェーンデータを使って需給の関係がどのように変化したかを確認することは重要だろう。

クラーケンでは、1000BTC以上を保有するウォレットを「クジラ」と定義している。クジラが保有するビットコインの総額は、7月16日に7月最低となる約790万BTCを記録した後に反転増加。7月20日にビットコインが3万ドルから反発する中、クジラの保有するビットコインは過去最高水準に戻った。

(出典:Kraken Intelligence「「クジラ」のビットコイン保有額とビットコイン価格」ピンクの円はそれぞれ7月の最低水準を示す)

機関投資家や大手企業などによる「スマートマネー」とも言えるクジラたちが、ビットコインに楽観的な見方をしているという証左になるかもしれない。また、クジラが蓄積を始めるということは、ビットコインの供給量がますます減ることを意味する。

マイナーが蓄積フェーズに

現在、マイニングによって毎日約900BTCが新たに生み出されている。ビットコイン価格が4万ドルとすると、一日あたり40億円ほどだ。マイナーによるビットコイン売却の動向がマーケットに大きな影響を与えるのは、自明の理だろう。

マイナーは、一般的な事業会社と同様に、オペレーション費や人件費を払う必要がある。ビットコイン相場の見通しが暗い時、一般的にマイナーは、経費支払いを意識してビットコイン売って早めに利益確定をする傾向がある。

(出典:Kraken Intelligence「マイナーのビットコイン保有額とビットコイン価格」)

マイナーが所持するビットコインウォレットの動向を見てみると、7月は6月とは異なりビットコイン蓄積フェーズだったことが分かる。つまり、市場に流れたビットコインの数は減少しているということだ。

先述の「クジラ」同様に、マイナーたちも今後のビットコイン相場を楽観視している可能性があるだろう。


千野剛司:クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)代表──慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社し、2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。


|編集・構成:佐藤茂
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