野村ホールディングス(HD)が子会社を通じて、会員制のフードブランドを立ち上げた。デジタル会員権はブロックチェーン技術を使って発行し、地方創生やフードロスなどの社会課題を重視したアグリビジネスを展開していく。
野村HDは18日、同社子会社の野村アグリプランニング&アドバイザリー(NAPA)が、野村ファーム北海道と共同で新ブランドの「アグリッチャー野(アグリッチャーノ)」を開始したと発表した。このブランド開発には、イタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフである奥田政行氏も参画した。
「アグリッチァー野」のデジタル会員権の発行には、ブロックチェーンを活用したデジタル証券の発行・流通基盤の「ibet」を利用する。ibetは、野村HDの子会社であるBoostryが開発したもので、SBIホールディングスも同社の10%株式を保有している。
計画では、野村ファーム北海道が生産した食材を使用し、奥田シェフが調理・監修する料理を会員に定期配送する。また、デジタル会員権の一特典として、奥田シェフの食事とワインのペアリングイベントを準備しているという。
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野村ファーム北海道は、NAPAが議決権の49%を、現地の農業生産者が51%を保有する企業で、北海道江別市の農場で大規模露地栽培を行っている。主な生産物には、スイートコーンやアスパラガス、カボチャなどがある。また同社は、規格外の野菜をレトルトスープの加工に使用するなどして、フードロス(食品ロス)の社会課題にも対応している。
野村HDはこれまで、デジタル証券やデジタルトークンの管理手法などの研究を進めながら、ブロックチェーンを活用するフィンテック企業への投資を拡大してきた。なかでも、金融商品や会員権、サービス利用券などをトークン化して発行し、取引できる独自のプラットフォーム「ibet」の開発に注力してきている。
|コピー・編集:佐藤茂
|写真:多田圭佑