暗号通貨での給与支払いを支援するスタートアップ「Bitwage」は、イーサリアム(ETH)を支払いの選択肢に加えた。
6月10日(現地時間)の発表によると、税金面あるいは福利厚生としてイーサリアムのメリットを従業員に提供したい企業は、同社のサービスを利用できる。
Bitwageは2014年からビットコイン(BTC)による給与の口座振込サービスを提供しており、3万人以上が利用している。企業の従業員、フリーランス、自営業者は、クライアントもしくは雇用主からの支払いのうち、好きな割合を暗号通貨で受け取ることができる。
同社は2017年からイーサリアム・エコシステムにおいて、コンサルティング企業「Inwage」の設立など、さまざまな実験的な取り組みを行い、同ブロックチェーンで複数のプロジェクトを立ち上げてきた。
例えば、5000万ドルを調達したMoriaのICO、監査証跡にイーサリアムを活用する大手保険会社のパイロット・プログラムなどだ。
だが、イーサリアムをBitwageの主要サービスに追加することは「裏側で多くの作業が必要だった……システム全体がビットコインに最適化されていた」と同社関係者はCoinDeskに語った。
「イーサリアムを利用するためのインフラを追加しただけのこと」
5年前にBitwageを創業した際、CEOのジョンソン・チェスター(Johnathan Chester)氏は企業がすでにビットコインを受け入れていることに気づいた。だが、従業員がビットコインで給与を受け取る手段はなかった。
同社は現在、自営業者とフルタイムの従業員を対象に月間2,500万ドルを処理している。
Bitwageのサービスは2種類。口座振込とチーム賃金。口座振込では、従業員が給与の一部を同社に送ると、自動的にドルコスト平均法に基づいて暗号通貨に交換する。一方チーム賃金は、全社的な給与支払いサービス。チーム賃金を使えば、企業は1回の支払いで、世界中に広がる数百人の契約社員に対して給与支払いができると同社関係者は述べた。
企業は仮想通貨取引におけるスプレッド(買値と売値の差、実質的な手数料となる)を負担するが基本サービスは無料。プレミアム版は月額15.99ドル、支払いがすぐに行われる。
スクエア(Square)も同様のサービスを提供しており、給与が振り込まれるが、従業員はビットコインへの交換を自分で行わなければならない。またCoinbaseでは銀行口座から毎月、自動的に暗号通貨を購入できる。
アマゾン、グーグル、アップルなど複数の大手企業がBitwageを採用し、従業員は自動的に暗号通貨を購入している。さらに同社によると、ウーバー、フードデリバリーサービスのCaviar、同じくドアダッシュ(Doordash)の運転手や配達員がこのサービスを利用している。
Bitwageは、Draper Associates、Candela Reach Capital、BPI Franceなどの投資家から約100万ドルを調達している。
翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Check image via ShutterStock
原文:Employers Can Now Pay Salaries in Ether Via Crypto Startup Bitwage