クレジットカード大手ビザ(Visa)の参入を受けて、NFT(ノンファンジブル・トークン)アート「クリプトパンクス(CryptoPunks)」の販売額が過去最高を記録、市場の熱狂ぶりを表している。
業界データを追跡しているCryptoSlamによると23日、クリプトパンクスの販売額は8600万ドル(約94億円)を超えた。
8月現時点までの販売額は3億3200万ドル(約365億円)、これまでの月の最高販売額は7月の1億3520万ドルだった。8月、クリプトパンクス1個あたりの平均価格は19万9069ドルにのぼり、先月の2倍以上となっている。
※クリプトパンクス(CryptoPunks):1万の小さな(24✕24ピクセル)デジタルキャラクター画像から構成されるデジタルアート。画像1点ずつの所有権がイーサリアムブロックチェーンに記録されたノンファンジブル・トークン(NFT)になっている。初のNFTアートと言われる。
ビザは23日、「クリプトパンク 7610」を8月19日に購入したと発表。クリプトパンクスのクリエーター、Larva Labsによると、クリプトパンク 7610の価格は49.50イーサリアム(ETH)、約15万ドル(約1700万円)という。これは、gmoneyという名前のユーザーがわずか1カ月弱前に取引した時の21.75ETHの2倍以上。
「NFTは、小売、ソーシャルメディア、エンターテインメント、コマースの将来に重要な役割を果たすと考えている」とビザの暗号資産責任者、カイ・シェフィールド(Cuy Sheffield)氏は23日、ブログに記した。
Over the last 60 years, Visa has built a collection of historic commerce artifacts – from early paper credit cards to the zip-zap machine. Today, as we enter a new era of NFT-commerce, Visa welcomes CryptoPunk #7610 to our collection. https://t.co/XoPFfwxUiu
— VisaNews (@VisaNews) August 23, 2021
「ビザは過去60年にわたって、初期の紙製クレジットカードから読み取り機まで、商取引の歴史的なコレクションを集めている。今日、NFTコマースの新時代を迎えるにあたり、ビザは「クリプトパンク7610」をコレクションに迎え入れた」
CryptoSlamのデータによると、過去1カ月、クリプトパンクスの1日あたりの取引件数は16~184件だったが、23日は300件以上となった。
Synergia Capitalのリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は、Visaの動きは「おおむねPR以外のなにものでもないが、デジタル資産の基盤となるインフラが長年にわたって改善されてきたことを示すだけでなく、これらの資産がいかに早くメインストリームになり得るかを示している」とコメントした。
同氏によると、機関投資家向け暗号資産プラットフォームのアンカレッジ(Anchorage)を利用して取引や資産の保管ができるようになったことは、伝統的な大手金融機関がNFTに前向きであることを示しているという。
「大手金融機関の参入は、今後のNFTマーケットプレイスの価値を総体的に向上させる可能性が高い」とビノコウロフ氏は語った。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ビザが購入したクリプトパンク7610(Larva Labs/CoinDeskが加工)
|原文:CryptoPunk NFTs Break Sales Record as Visa Sparks Buying Frenzy