ノンファンジブル・トークン(NFT)が新しい技術として、どれほど興味深いものだとしても、暗号資産としての最大のメリットは、規制の観点において有価証券とは見なされないことだ。つまり、人気のオープンシー(OpenSea)のようなマーケットプレイスは、認可取得のための手間や負担とは無関係だ。
このハードルの低さが、いまのNFTブームを支える大きな構造的要因であることは間違いない。
そして金融化は、特に暗号資産において強力な魅力を持っている。すでに配当やガバナンス権のようなものを加えることで、設計レベルで有価証券化しているNFTもある。
また、基盤となるプログラムは暗号資産の構造と大きく変わらないため、シンプルな画像のNFTであっても複雑な金融商品に組み込むことは簡単。高価なNFTはすでに「分割化」、つまり投資家に販売するために手頃なサイズに分割されており、そのプロセスは米証券取引委員会(SEC)によって監督されている。
DeFiの担保としてNFTを利用
理論的にはDeFi(分散型金融)などで融資の担保としても利用できるが、そのためには技術的な問題がある。ローンの担保としてNFTを利用するには担保価値を明確にする必要があるが、現在のNFT市場は非常に変動が大きい。
「単一資産のみの市場では、価格の透明性と価格発見はきわめて困難」とトークン化株式を手がけるDeFiプロジェクト、Swarm Marketsの共同創業者フィリップ・ピーパー(Philipp Pieper)氏は述べる。
この問題はクリプトパンクス(CryptoPunks)のような大規模なシリーズで発行されるNFTのほうが解決は簡単だ。ピーパー氏は、数千枚のNFTのうち、数枚を残りのNFTの価格を決める指標のようなものとして利用することを考えている。
「流動性プールで、イーサリアムとNFTバスケットのペアを作る。そうすれば、市場価値のあるバスケットが生まれ、価格発見の問題を解決することができる」(ピーパー氏)
だが、クリプトパンクスはこのアイデアの1つの問題点を浮き彫りにしている。すなわち、シリーズ内の作品の最低価格と最高価格の間にはときに大きな開きがある。実際、クリプトパンクスは最近、1000万円台から数億円の間で取引されている。
ピーパー氏は、NFTプールを使った価格発見にはアルゴリズムによるリバランスが必要になるかもしれないと語った。これは、インデックスファンドなどの従来の金融商品の運用とほぼ同じで、Swarmはこの問題に取り組んでいるという。
「技術的にはほぼ完成しているが、価格設定や経済性については、まだ解決すべきことが数多くある」とピーパー氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:How NFTs Fit Into DeFi