英保険大手、AWS利用し年金商品にブロックチェーンシステムを導入

英保険大手リーガル・アンド・ ゼネラル(Legal & General=L&G)は、アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を利用して、年金商品「バルク・アニュイティ(Bulk Annuity)」契約管理用のブロックチェーン・システムを立ち上げる。

L&Gは、バルク・アニュイティの管理・記録にAWSの「アマゾン・マネージド・ブロックチェーン(Amazon Managed Blockchain=AMB)」を利用する。ロイターが6月12日(現地時間)に報じた。バルク・アニュイティとは、保険会社が企業の年金支払債務や運営を引き受ける契約。

今のところ、AMBシステムは、L&Gがイギリスとアメリカ以外の国で提供しているバルク・アニュイティ事業に使用される予定だが、将来的には両国も対象になる可能性があると、L&Gの広報担当者はロイターに語った。

L&GリインシュアランスのCEO、トーマス・オランロヨ(Thomas Olunloyo)氏は「 バルク・アニュイティ契約は50年以上続くこともあり、ブロックチェーン技術は、この性質に適している」と語った。ブロックチェーンは、関連するデータやトランザクションを「契約期間中、永続的かつ安全な形で署名、記録、維持すること」を可能にするとも同氏は述べている。

保険産業では、ブロックチェーン技術の透明性や効率を向上させる可能性に注目する企業が増加しており、同技術を活用するケースが増えつつある。

2018年12月、米保険グループ、ステート・ファーム(State Farm)は、代位求償の手動プロセスを効率化するためにブロックチェーン・ソリューションののトライアルを開始した。代位求償とは、保険会社が補償の対象となる企業に代わって、第三者に損害賠償を請求すること。

また今春、中国で複数の保険会社がブロックチェーンのセキュリティーやトレーサビリティ機能を調査するために合同で実施していたブロックチェーン・トライアルが完了した。同技術が中国保険企業の抱える信用問題を解決するのに役立つかを検証することもトライアルの目的の1つだった。

同じく昨年12月、米経営コンサルティング大手アクセンチュア(Accenture)とイタリアの保険最大手ゼネラリ(Generali)は、生命、所得保障、事故、医療保険など、ゼネラリの「従業員給付ネットワーク(Employee Benefits Network)」が提供する給付の効率化を図るために、ブロックチェーン・ソリューションを立ち上げている

AMBは、5月初旬に正式提供が始まり、顧客は同サービスを利用して、ソリューションを構築することができるようになった。担当者は、「(ブロックチェーン)ネットワークをわずか数分でつくることができる。証明を管理し、新規メンバーを招待し、ピア・ノード(Peer Node)のキャパシティをスケールさせ、トランザクション処理をより速く行うことができる」と述べている。

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:AWS image via Shutterstock
原文:Insurer L&G Uses Amazon Blockchain Service for Pension Deals