韓国では9月24日に約26億ドル(約2900億円)相当の暗号資産が消失する可能性がある。フィナンシャル・タイムズが12日伝えた。
韓国では金融取引報告法の改正によって、暗号資産(仮想通貨)取引所は9月24日までに同国の金融サービス委員会(FSC)に登録しなければならない。アンチマネーロンダリング(AML)と顧客確認(KYC)の手続きを遵守するために、暗号資産取引所は銀行と提携し、顧客アカウントを実名で設定する必要がある。
FSCは取引所に対して、規制要件を満たせない場合は閉鎖の可能性を顧客に9月17日までに通知するよう勧告している。
記事によると、60の取引所のうち3分の2にあたる約40の取引所がまだ未登録で、専門家は「取り付け騒ぎ」を引き起こす可能性があると指摘している。
取り付け騒ぎは金融機関の準備金が顧客の引き出しに対応できない状況になることで、専門家は同国内の小規模な暗号資産取引所に取り付け騒動が起こる可能性があると警告している。
「取り付け騒ぎに似た状況は登録期限が近くなると起こるだろう。投資家は小規模な取引所にしか上場していないアルトコインを現金化できなくなるからだ。彼らは突然資産を失うことになる。規制当局がその副作用に対処できるのか疑問だ」と暗号資産取引所FoblgateのLee Chul-yi氏は述べた。
42のキムチコインが消滅
フィナンシャル・タイムズは、業界データを引用し、韓国の暗号資産取引の約90%はアルトコインで行われていると指摘、その中には韓国人が開発した暗号資産、通称「キムチコイン」もある。
高麗大学の暗号資産専門家、キム・ヒュンジュン氏の試算によると、42のキムチコインが消滅するという。
記事で引用されたもう1人の専門家、韓国金融消費者連盟のチョ・ヨンヘン氏は、取引が停止され、資産が凍結されることで「莫大な投資家の損失が予想され」、小規模な取引所の多くは顧客を守ることはできないだろうと述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:South Korea’s Registration Deadline for Crypto Exchanges Could Erase $2.6B in Assets: FT