前回の記事(https://www.coindeskjapan.com/121623/)に引き続き、本記事では以下5社の金融機関の為替相場見通しをまとめる。
- 農林中金全共連アセットマネジメント
- 東京海上アセットマネジメント
- 三井住友DSアセットマネジメント
- ソニーフィナンシャルホールディングス
- ニッセイアセットマネジメント
※発表が早い順
なお、各社の予想は執筆時期が異なる点(公表は2021年9月7日~13日)、また将来の値動きについて保証するものではない点に留意してほしい。
農林中金AM、当面ドル円の緩やかな上昇を予想
農林中金全共連アセットマネジメントは9月7日、「マンスリーレポート(2021年9月号)」において当面「米ドル/円」の緩やかな上昇を予想した。
米経常赤字の拡大や日米インフレ格差は円高・米ドル安要因とするも、日米の金融政策格差および金利差の拡大が円安・米ドル高要因とし、総じて「米ドル/円」の緩やかな上昇を見込む。
東京海上AM、当面ドル円の上昇を予想
東京海上アセットマネジメントは9月7日、「月次マーケット・レビュー」において当面「米ドル/円」の上昇を予想した。
米国経済が堅調に推移し、FRB(米中銀)が金融緩和の修正に前向きな姿勢を継続して示していると指摘。日米の金融政策の乖離に伴う金利差の拡大を背景に、円安・米ドル高の進行を見込む。
三井住友DS、ドル円に小幅な上昇余地を見込む
三井住友DSアセットマネジメントは9月7日、「投資環境見通し(2021年9月号)」において為替相場を以下のように予想した。
三井住友DS 為替相場見通し
2021年 10~12月 | 2022年 1~3月 | 2022年 4~6月 | |
米ドル円 | 106─116 (111) | 107─117 (112) | 107─117 (112) |
ユーロ円 | 123─143 (133) | 126─146 (136) | 127─147 (137) |
英ポンド円 | 145─165 (155) | 146─166 (156) | 148─168 (158) |
豪ドル円 | 75─95 (85) | 76─96 (86) | 77─97 (87) |
ユーロ米ドル | 1.15─1.25 (1.20) | 1.16─1.26 (1.21) | 1.17─1.27 (1.22) |
「米ドル/円」は小幅な上昇を見込む。米国の労働市場の改善やテーパリング(金融緩和の縮小)議論などは米ドルにプラスとするも、インフレ加速は一過性であるとの見方が強まること、また新型コロナウイルスの影響からFRBの政策修正は緩やかになると指摘。
米ドルの上昇は限られるとし、「米ドル/円」は100~115円のレンジの中、日米の景気・金利格差から小幅円安の余地を見込む。
ソニーフィナンシャル、今後3ヵ月ドル円を109~112円と予想
ソニーフィナンシャルホールディングスは9月8日、「Monthly Global Market Report(2021年9月号)」において、為替相場を以下のように予想した。
ソニーフィナンシャル 為替相場見通し
今後1ヵ月 | 今後3ヵ月 | |
米ドル円 | 109─111 | 109─112 |
ユーロ円 | 128─133 | 126─134 |
英ポンド円 | 149─154 | 147─156 |
豪ドル円 | 79.5─84.0 | 78.0─86.0 |
NZドル円 | 75.5─80.0 | 74.5─80.5 |
「米ドル/円」の上昇ペースはより緩やかになると見込む。8月27日のジャクソンホール・シンポジウムにおいて、パウエルFRB議長は米利上げ時期は当面先になると印象付けたと指摘。8月米雇用統計は非農業部門雇用者数が23.5万人にとどまったことから、9月FOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリングが決定される可能性はほぼ消滅したとみる。米長期金利が上がらないなか、「米ドル/円」の上昇ペースは緩やかになるとした。
また米国では新型コロナウイルス感染症の新規感染者数と死亡者数が右肩上がりにあるとし、増加が続くなら米株価の下落とともに円高が進む可能性を示唆した。
さらに米国の政府閉鎖リスクについても注意を促した。2022年度の予算が9月末までに成立しなければ政府閉鎖のリスクが高まると指摘。米上院は民主党・共和党の議席が拮抗しているため、この1ヵ月程度は米議会の動向に左右される展開を予想した。
ニッセイAM、ドル円の円安基調を予想
ニッセイアセットマネジメントは9月8日、「マンスリーレポート(2021年09月)」において、当面「米ドル円」の上昇基調を予想した。
FRBによるテーパリング年内開始の思惑などから円売り・米ドル買いが進んでいると指摘。原油価格上昇による日本の貿易収支悪化傾向などから、今後も実需面で円売り・米ドル買い需要が高まるとし、当面は円安基調が続くとした。
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|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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