米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長が、暗号資産(仮想通貨)市場に対する規制監督の拡大を訴えるなか、14日、暗号資産市場はほぼ上昇した。ビットコインは上院でのゲンスラー委員長の証言にほとんど反応せず、当記事執筆時点で4万6400ドル付近で取引され、24時間で約5%の上昇となった(日本時間15日8時45分時点、4万7000ドル付近となっている)。
ゲンスラー委員長はまた、コインベース(Coinbase)のような暗号資産取引所はSECに登録すべきと警告した。「証券にあたる可能性がある数十種類のトークンを持っているにもかかわらず、まだSECに登録していない」。
SECが規制のためのリソースを増やすよう議会に働きかける一方で、大規模な機関投資家の関心は高まっている。
大手格付け会社のフィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)は「暗号資産の機関投資家への広がりは、アメリカの金融市場により深く浸透していくことを意味する。暗号資産の規制指針や監視・監督がどの程度明確になっているかは、この分野に参入する銀行にとって信用への影響度を評価する際の重要な検討事項だ」と14日レポートに記した。
従来の銀行は、利回りや融資商品を提供することで間接的に暗号資産に関与しているが、コンプライアンスリスクを引き起こす可能性があるとフィッチは述べた。また、機関投資家が大規模に暗号資産に投資するには、顧客の適合性、マネーロンダリング、サイバーセキュリティの懸念があり、これらに対処する必要があるとしている。
最新価格
●ビットコイン (BTC):4万6475ドル、+3.8%
●イーサリアム(ETH):3351ドル、+3.0%
●S&P 500:−0.6%
●ゴールド:1805ドル、+0.7%
●10年物米国債:1.277%、−0.047%ポイント
恐怖モード
ビットコインの市場センチメント(心理)を測る指標「Fear and Greed Index」は、先週の下落の後、「恐怖(Fear)」に急激に転じた。
デルファイ・デジタル(Delphi Digital)のリサーチアナリスト、オン・ジュー・キン(Ong Joo Kian)氏は、ブログに「8月の大半は、価格が全般的に上昇したため市場は極度の強欲状態にあった。9月は暗号資産にとってネガティブな月になる傾向がある。好調にスタートしたが、センチメントはむしろ急速に悪化している」と書いている。
過去のネガティブなセンチメントは、以図に示されているように、昨年9月と今年7月、価格上昇に先行して現れた。
アルトコインのトレンド改善
アルトコインは、一部のトレーダーが保有資産を多様化しているため、過去数カ月、ビットコインに対する上昇傾向が改善している。
「時価総額の小さな暗号資産は先週、人気を失った。だが一時的なものだと考えている。週間relative rotation graph)の推移は、ポルカドット(DOT)やチェーンリンク(LINK)などが有利な方向に転じ続ける可能性が高いことを示している」とテクニカルリサーチ会社、フェアリード・ストレテジーズ(Fairlead Strategies)のケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏はコメントした。
12週RRG(アニメーションはこちら)は、ビットコインに対するアルトコインの中期的な循環性を示している。同氏によると、グラフの時計回りの回転は、短期的にはビットコインが主導権を握る可能性はあるものの、中期的にはアルトコインに期待が持てることを示しているという。
アルトコイン状況
●ソラナ・バリデーター、「再起動」を準備:ソラナブロックチェーンは14日朝、ネットワークの「リソースの枯渇」が原因で数時間にわたってダウン。バリデーターはネットワークの再起動を検討している。暗号資産ソラナ(SOL)は24時間で約9%下落した。
●レイヤー2ネットワークのアービトラム(Arbitrum)も障害:イーサリアムのレイヤー2スケーリングのアービトラムも14日、約1時間の障害が起き、トレーダーやDeFi(分散型金融)ユーザーに影響を与えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:coindesk JAPAN
|原文:Market Wrap: Bitcoin Returns to Above $46K Even as Indicator Shows Crypto Fear