東京のアイドルフェスでNFT、ソニーミュージックとGaudiyが共同で参加型コミュニティ

フジテレビが主宰する世界最大級のアイドル・フェスティバル「TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)」が10月1日から始まる。3日間のイベントでは、アイドルとファンをつなぐ参加型コミュニティサービスが展開されるが、世界中で注目されているNFT(ノンファンジブル・トークン=非代替性トークン)が利用される。

2010年にスタートしたTIFは、年々参加者を増やし、2019年には9万人の来場者を記録。2020年は新型コロナウイルスのパンデミックで、初のオンライン開催となったが、今年は東京・台場会場とオンラインのハイブリッド形式で開かれる。

9月28日の発表によると、今回のTIFでは、ブロックチェーンを基盤技術とする代替不可能なデジタルトークンのNFTを活用して、アイドルとファンをつなぐコミュニティサービス「TIFコミュニティ」が計画されている。このサービスを開発したのは、ソニー・ミュージックエンタテインメントとGaudiy(本社・東京渋谷区)だ。

(TIFコミュニティサービスのイメージ画像:Gaudiyより)

まず、TIFコミュニティでは、オンライン配信を閲覧できるデジタルチケットがNFTで提供される。NFTチケットには、のちに特典などの価値が付与される仕組みになっている。

NFTチケットを持つファンは、オンラインのLIVEサイン会「TIF NFT LIVEサイン!」にも参加でき、TIFの会場を映す定点カメラの前を通りがかったアイドルがサインを書く時に、定点チャンネルを視聴していれば、限定サインを入手できる。

また、TIFコミュニティでは、誰もがアイドルを応援する投票企画に参加できる。票をもとに複数のアワード(賞)が決定され、各賞ごとに記念のNFTが発行される。記念NFTは、ファンがTIFコミュニティの活動の一部を決める投票権(ガバナンス)としても利用できる仕組みだ。

(東京六本木で開催されている『約束のネバーランド』の体験型ミュージアム/撮影・多田圭佑)

Gaudiyは、音楽やゲーム、マンガ、アニメなどのエンターテイメントのデジタル化を支援するブロックチェーン企業で、IP(知的財産)とファンで構成するトークンエコノミーを作り上げ、次世代のユーザー体験を創出する事業を手がけている。

今年7月、「週刊少年ジャンプ」の連載からテレビアニメ化と映画化を経て人気をおさめてきた『約束のネバーランド(約ネバ)』の体験型ミュージアムが、東京・六本木で始まったが、GaudiyはここでもNFTを活用したコミュニティサービスを開発した。

Gaudiyは発表文で、「既存のエンタメ産業では、 AmazonやYouTube、 Spotifyといった外部プラットフォームを介してコンテンツを届ける構造になっており、表現できるエンタメ体験の幅に限界がある。顧客基盤を自社に形成できない課題がある」とした上で、「ファンの熱量から成り立つファンエコノミーを構築することが、 エンタメ産業の課題を解決すると考えている」と述べている。

|テキスト・編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock