ビットコイン(BTC)は9月を例年どおり、弱気な月として終えることになりそうだ。グローバル金融市場の不安定さ、規制への懸念、中国の暗号資産ビジネスの全面禁止などが要因となっている。
当記事執筆時点では4万2200ドル付近で取引され、24時間で2.8%の上昇となっているものの、月間では10%の下落となり、5月以来の下落幅となっている。
月はじめに見られたポジティブな市場センチメントは、米証券取引委員会(SEC)が暗号資産取引サービス大手コインベース(Coinbase)のレンディングサービスの提供を停止させるなど、規制懸念が再燃したことで足踏み状態となった。SECのゲンスラー委員長は暗号資産規制の必要性を繰り返し強調し、ステーブルコインをポーカーのチップにたとえた。一方、中国では暗号資産に関連するビジネスをすべて違法とする決定がなされ、さらに不動産市場の混乱が拍車をかけている。
下落圧力は新規投資家から
しかしアナリストによると、下落圧力の多くは新規投資家によるものという。「現状、古くからの市場参加者は保有を続けている。一般的な経験則として、古い参加者の支出が増えると市場は弱気になり、少ないと強気になる」とBlockware Intelligenceは17日付けのニュースレターに書いている。
大口投資家は年末に向けての上昇を期待して、押し目買いをしている。ブロックチェーンデータ会社のグラスノード(Glassnode)によると、1000ビットコイン〜1万ビットコインを保有する大口投資家の保有残高はは9月に6万ビットコイン増加している。
アナリストは先週、中国の暗号資産全面禁止の影響は、最悪の場合でも限定的なものであり、暗号資産は次の四半期(10−11月期)に始まると予想されている米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(経済刺激策の段階的縮小)に対してもレジリエンス(回復力)を維持するだろうとコメントした。
これまでもビットコインは四半期ごとに見ると、10月〜12月にかけて大きな上昇を記録している。
株式との相関関係
今後の焦点は、アメリカの債務上限の行方がどのなるかだ。米シンクタンクのブルッキングス研究所が引用した財務省の試算によると、議会が債務上限を引き上げるか、停止しなければ、政府は必要な施策のための予算を失うことになる。
S&P500は、米上院で債務上限の凍結に向けた法案の採択が阻止されたことで28日、約2%下落した。株式市場の下落が続くとビットコインの重荷となる可能性がある。
「ビットコインとS&P500の90日相関関係は、9月のリスクオフ期間中にかなり上昇した。一方で、ビットコインのゴールドの相関関係は低下している。ビットコインはゴールドと似た特徴を数多く備えているが、依然としてリスクオン資産として扱われ、市場混乱時には株式市場と高い相関関係を示している」と暗号資産取引所Lunoは週刊リサーチノートに記した。
ビットコインETFへの最終回答
トレーダーは、複数のビットコインETF(上場投資信託)の申請に対するSECの最終決定や、先物ETFに対するSECの初の回答にも注目している。
「現物ETF(上図の赤枠内)の最終回答日が近づいている。VanEckは11月14日までに最終回答を受け、他のファンドの回答もその後すぐに続く。こうした日付に向けて、市場が動き出すことを期待している」とアーケーン・リサーチ(Arcane Research)は28日、レポートに書いている。
「ビットコイン先物ETFもまもなく最初の回答がある。さらに今後40日以内に6つのビットコイン先物ETFの申請がSECから1回目の回答を受ける」(アーケーン・リサーチ)
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Skew
|原文:Bitcoin Eyes Biggest Monthly Price Loss Since May