NFTゲーム「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」のトークン「AXS」は4日夜、24時間で41%上昇し、153ドル付近の史上最高値を記録した。5日朝時点では135ドル付近となっている。
9月30日には、アーリーアダプターに対して6000万ドル相当のトークンを配布すること、およびステーキング機能の開始を発表。TradingViewのデータによると、30日の発表以来、価格は73ドルから約2倍になっている。
驚異的な年利
AXS Staking Dashboardによると発表以降、1200万以上のAXSがステーキングされている。ステーキングとはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンの取引検証に参加するプロセスのことで、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)ブロックチェーンのマイニングに相当する。PoSブロックチェーンでは、必要最低限の残高があれば、誰でも取引の検証を行い、ステーキング報酬を得ることができる。
「AXSのステーキング利回りは、すでに1240万AXSにのぼり、さらに増加しているが、並外れて高い状態(年利189%)を維持しており、AXSの供給が逼迫する現実的なリスクにつながっている。これは持続不可能とはいえ、AXS価格の飛躍的な上昇をもたらす可能性があり、最終的には不規則で不安定な値動きにつながる」とSynergia Capitalのリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は述べた。
また同氏によると、この上昇は、他のゲームやNFT関連の資産から需要を奪っている可能性が高いという。
アクシー・インフィニティは今年急成長し、時価総額は約93億ドル(約1兆円)にのぼる。アクシーをプレーすることで得られる収入がその国の平均収入を超える国ではトラフィックが高くなっている。Similarwebによると、トラフィックはフィリピンが1位、ブラジルが2位、ベネズエラが3位となっている。
スマートなマーケティング
「価格上昇は、Axieの人気が高まっていることと、参入が非常に簡単なことが理由といえる。また、アクシーはスカラーシップ制度など、かなりスマートなマーケティングを行っていると感じている」とシンガポールに拠点を置くシグナム・キャピタル(Signum Capital)のマネージングパートナー、ジョン・ング・パンギリナン(John Ng Pangilinan)氏は述べた。
アクシーをプレーするためには、最初、3体のキャラクターを手に入れる必要があり、現在、約1065ドル(約12万円)かかる。高額な初期投資が難しいユーザーには、既存ユーザーや投資家からなるアクシー・コミュニティがキャラクターを貸し出すスカラーシップ制度は提供している。この制度はゲームの公式機能ではなく、コミュニティメンバーが提供しており、プレーヤーが稼いだ収益の一部を受け取っている。
「今、このような値動きをしている競合はないと思う。つまり、プレーヤーと個人投資家の双方にとって魅力的だ」(パンギリナン氏)
アクシー・インフィニティを開発・運営しているベトナムのスタートアップ、Sky Mavisは最近、新たに分散型取引所(DEX)を立ち上げることも発表した。The Blockによると、DEXはアクシー・インフィニティ専用のイーサリアムブロックチェーン連動型サイドチェーン「Ronin」上に構築されるという。
「トークンの移動に伴う手間を取り除くことができる。ユーザーエクスペリエンスを向上させ、ブロックチェーンゲームにおけるAXSのリーダー的ポジションをさらに強固なものにするだろう」とパンギリナン氏は付け加えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Axie Infinity
|原文:Airdrop, Staking Announcement Power Axie Infinity’s AXS Token to Record High